よろしい、ならば統計だ。(4 好きな小説家は?編)
キンコンカンコーン。
いきなりですが、注意書きです。
今回の小説(?)は、二〇二〇年一月二十八日に作成されたものです。テキストマイニングは正確な統計には向いていないため、データに漏れや間違いが含まれている可能性があります。「へぇ、こんな感じなんだー」くらいの気軽な気持ちで見て頂けると助かります。
なお、基本的に一ページで回答が掲載されている方、及び、問題文を改変していない方を対象にしております。いかんせんコピペは手作業なもんで……。カクヨムAPIの実装まだー?
また、何らかの問題により除外せざるを得ないケースがありました。大変申し訳ありません。
それでは、本編をお楽しみください。
――――――――――――――――
「諸君、私は統計が好きだ。
諸君、私は統計が好きだ。
諸君、私は統計が大好きだ。
平均値が好きだ。
中央値が好きだ。
階級値が好きだ。
観測値が好きだ。
最小値が好きだ。
最大値が好きだ。
偏差値が好きだ。
期待値が好きだ。
この地上で行われるありとあらゆる統計行動が大好きだ――」
「はいはいタケル君、ストップストップ! いきなりこんなこと言われても、なんのことだか分からない人が続出してるわよ?」
俺が気持ちよく演説をぶち上げていると、幼なじみである
俺の名前は
冒頭の演説は、アニメ『HELLSING』に登場する有名な演説の改変パロディである。気になる人もならない人も、『よろしい、ならば
「すまない、ケイコちゃん。やってみたかっただけなんだ」
「あなた、スター・ウォーズの考察(※)書いたときもこんなことやってひんしゅく買ってたわよね?」
(※)『スター・ウォーズEP9、そのデュエルシーンを考察してみた。』https://kakuyomu.jp/works/1177354054893684900/episodes/1177354054893684943
「むしゃくしゃしてやった。反省はしていない」
「そのようね……」
景子は頭を抱えた。
「それで、統計を使って今日は何を分析したの?」
「よくぞ聞いてくれた! 最近、『カクヨム』と呼ばれる小説投稿サイトで『一〇〇の質問』が流行してるのは知ってるか?」
「えぇ。みんな自分の小説を放り出してやってるっていう、アレでしょ」
ギクウッ!
ち、違うんだ。これは単なる余暇だ。そう、コーヒーを飲んだりのんびり散歩するくらいの感覚なんだよ、作家にとってこんなことは……!
「……まぁとにかくだ、俺が今回分析したのはその『一〇〇の質問』約百人分の回答だ。実際は五十の質問なんだけどね。最近になって追加の五十問が追加されたけど、そちらは分析の対象には入ってないぞ」
「へぇ、面白そうじゃない。どうやって分析したの?」
「『Excel VBA』などを駆使して文章を抽出してからある程度手作業でやる方法と、テキストマイニングツール『KH Coder 3』を使って自動的にやる方法の二種類だ」
「手作業とか、あなた本当に暇人ね」
「しょうがないだろ。表現の揺らぎとデータの整合性は相性が悪いんだ」
「そんなことはどうでもいいから、早く結果を教えてちょうだい」
「分かった分かった。今日のテーマは、『人気作家』だ。『五十の質問』第四問の統計結果を発表するぞ」
「お、それは気になる」
「まず第五位の発表だ」
「え? 五? 三じゃなくて?」
「いいからいいから。では、ドラムロール、すたーてぃん」
ダラララララララララ――
ダン!
同率第五位は、三人の方が名前を挙げました。
『アイザック・アシモフ』
『アガサ・クリスティ』
『乙一』
『司馬遼太郎』
『島田荘司』
『住野よる』
『夏目漱石』
『西加奈子』
『はやみねかおる』
『湊かなえ』
(敬称略)
「って、あなたが押してるアシモフとクリスティが入ってるからなのね!?」
「そうだよ、何が悪い!」
「しょうがないなぁ……。それにしても、なんかミステリー作家が多いわね」
「そうだね。ちなみに、アガサ・クリスティはギネスに『史上最高のベストセラー作家』と認定されてるぞ。
「それ、褒めてないよね……?」
(これを書いている人の心の声:乙一先生という方は、今回初めて知りました。今度読んでみたいですね。こういう新しい発見があるのが、この企画の面白いところじゃないでしょうか)
「では、第四位の発表に移るぞ」
ダラララララララララ――
ジャン!
同率第四位は、四人の方が名前を挙げました。
『綾辻行人』
『恩田睦』
『京極夏彦』
『西尾維新』
『宮沢賢治』
『村上春樹』
「お、村上の御大の名前があるわ!」
「やはりノーベル文学賞の噂がある人だけあって、人気だな」
「宮沢賢治も根強い人気なのね。まぁ、小学校から読んでるって人も多いだろうから、その影響かしらね」
「『雨ニモマケズ』は暗記したなぁ」
「雨にも負けず、風にも負けず――みんなに小説バカとよばれ、ほめられもせず、くにもされず、そういうものに、わたしはなりたい」
「ごめんケイコちゃん、俺はなりたくありません」
(これを書いている人の心の声:綾辻行人先生の奥さんって小野不由美先生なんですね。Wikiを見て初めて知りました。二十ヘェ)
「次は第三位だ!」
ダラララララララララ――
ドドン!
同率第三位は、五人の方が名前を挙げました。
『宮部みゆき』
『特になし』
「『特になし』って……タケル君、どういうこと?」
「特定の好きな小説家はいないとか、そもそも小説を読みません、という回答をここに分類した」
「なるほど」
「そして出て参りました。宮部みゆき先生であります」
「超人気作家よね。当然、タケル君は読んだことあるんだよね?」
「……」
「え? それでミステリーファン名乗ってるの? 信じられない!」
「ごめんなさーい!」
(これを書いている人の心の声:いやまじでごめんなさい。避けてたんです。今から読みますね)
「気を取り直して……。第二位は、この方々だ!」
ダラララララララララ――
ダーダン!
同率第二位は、六人の方が名前を挙げました。
『有川浩』
『江戸川乱歩』
「江戸川乱歩に並んで、『図書館戦争シリーズ』でおなじみの有川浩先生が堂々のランクイン!」
「岡田准一の実写映画化でも話題になったわね」
「個人的には『阪急電車』が好きだ」
「ところで、江戸川乱歩の名前は『エドガー・アラン・ポー』から名前をもじったって本当?」
「そうらしいよ。つまり、江戸川コナンの正体は『エドガー・コナン・ドイル』だったんだ」
「……聞いたあたしがバカだった」
(これを書いている人の心の声:質問の回答で『エドガー・アラン・ポー』と『アーサー・コナン・ドイル』を挙げた方がそれぞれ一名いらっしゃいました。シャーロック・ホームズは、諸事情あって英語版しか読んだことがありません。ヒント:高校の授業)
「さぁ、いよいよ第一位の発表な訳だが、ケイコちゃんは誰だと思う?」
「当然名のある作家だと思うんだけど、分からないわ」
「実は、単独一位なんだ」
「なんですって!?」
「それでは、注目の第一位の発表です!」
ダラララララララララ――
ダララララララ――
ジャーーン!!
第一位は、七人の方が名前を挙げました。
『東野圭吾』
パッパカパーン!
「おー、なるほど! 東野先生なら納得だわ!」
「何が代表作? って聞かれると困るくらい良い作品が多いよね。最近だと『ラプラスの魔女』だっけ? ここは『カクヨム』だし、KADOKAWAを推しておこう」
「うわぁ、あからさま……」
景子が軽蔑の目で俺を見るが、そんなことは気にしない。
「さて、今度は『KH Coder 3』を使った分析結果を一つだけ紹介するよ」
「ねぇ、KH Coder 3ってそもそも何?」
「KH Coder 3は、計量テキスト分析を行うためのツールなんだ。言葉が出てくる回数をカウントしたり、一緒に出てきやすい単語をグループ分けしたりして、文章がどういう特徴を持っているのかを教えてくれるよ」
「へぇ、便利そうね」
「今回は、作家名の『共起ネットワーク』を紹介しようと思う」
「きょーきねっとわーく? もしかして各作家が書いたミステリーの『凶器』に共通点があるとか? それとも『狂気』に支配されたタケル君のことかしら……」
「両方とも違うわ! 共にイベントが起きると書いて『共起』だ」
「で、どんなことが分かるの?」
「ある人が複数の作家を挙げたとするでしょ。で、別の人も同じ作家の名前を挙げました。このとき、この二人は『共通の好きな作家』という接点が出来るわけだ」
「ふむふむ」
「それを線で繋いだら、『この作家が好きなら、別のこの作家も好きかもしれない』というネットワークを作ることが出来るんだ」
「なるほど」
「今説明したのはすごく単純化してるけど、NetflixやAmazonのレコメンデーション(商品推薦)でもこの考え方が使われているぞ」
実際はもっと複雑で、ページランクや(誰も興味ないと思うので中略)が使われているけど、基本的な考え方は上の説明で合ってるぞ。
「今回は全文を処理にかけてるから、質問四だけでなく他の質問――例えば『5 おすすめの本を教えてください!』の内容なんかも考慮されているぞ」
「分かったわ」
「残念ながらカクヨムは画像をアップロードできないからネットワークを直接見せることは出来ないが、ネットワークで繋がっているグループをリストアップして紹介しよう」
「はーい!」
グループA
『アガサ・クリスティ、立原えりか、夢野久作、ミヒャエル・エンデ、上橋菜穂子、住野よる、池波正太郎、小野不由美、乙一、有川浩、万城目学、星新一、中村文則、芥川龍之介、道尾秀介、小川洋子』
グループB
『貴志祐介、伊藤計劃、湊かなえ、太宰治、石田衣良、梶井基次郎』
グループC
『アイザック・アシモフ、司馬遼太郎、田中芳樹、島田荘司、深沢美潮、はやみねかおる』
グループD
『有栖川有栖、夏目漱石、浅田次郎、よしもとばなな、今村夏子』
グループE
『荻原規子、野梨原花南、永井路子』
グループF
『島崎藤村、エミール・ゾラ、紀貫之』
グループG
『高野史緖、泉ゆたか、原田マハ』
(作家の並び順は、隣り合ってる作家同士が近い関係にあると思って頂いてよい)
「このリストはどう見ればいいのかしら?」
「そうだね、例えばグループAの中に好きな作家がいるとする。そしたら、グループAに含まれてる他の作家で読んだことがない人がいれば、もしかしたら気に入るかも知れないよ、ってことだね」
「そう言えば、村上春樹の名前がないわ」
「ハルキストは孤高の存在、ということじゃないかな。村上に一途、春樹ラブ!」
「それだけ他の追随を許さない魅力のある作家ってことね」
「まぁこれはあくまで分析の一例だから、パラメータを変えれば別の結果が出てくると思うよ」
「そうなんだ。それにしても、グループFが謎の存在感を放ってるわね……」
「確かに……」
「どうだった、ケイコちゃん? なんかミステリー作家が多かった印象だね」
「それほどインパクトが強いってことじゃないかしら。それとも、ミステリー好きな人は押しが強いとか?」
「それはありそうだね。
ちなみに、みなさんが挙げた作家の人数はなんと総勢二百十三名! 中にはなろうやカクヨムの作家をあげている人もいたな。例えば『カルロ・ゼン』とか」
「『幼女戦記』かぁ。アニメは見たよ」
「ケイコちゃんでもそういうの見るんだ。ちょっと意外。
まぁ、それにしてもトップでこれだけ人数がいるんだから、裾野である我々カクヨムユーザーはさらに人数がいる訳で……」
「厳しい競争社会ね」
「それでも、読んでくれる方が一名もいるのであれば、俺たちは全力で小説を書き上げるだけだ!」
「そうね。がんばってね、タケル君」
「おうっ!」
「……ところで、この統計をとるのにどれくらい時間かかったの?」
「一時間半」
「この小説書くのに何時間?」
「……二時間」
「そんなに時間かけるなら、自分の小説書きなさい! 二万文字くらい余裕じゃない!!」
「ご、ごめんなさーい!」
(続く?)
――――――――――――――――
以下は、統計に使用した人のリストです。
統計対象:百四名(順不同)
いいの すけこ 様
月波結 様
たまきみさえ 様
嵯冬真己 様
IccO_OmmI 様
0516 様
神谷そら 様
狐雨夜眼 様
永谷 瞬 様
継月 様
如月芳美 様
いとうみこと 様
ばびぶ 様
片瀬智子 様
宇部 松清 様
木元 宗 様
ハヤブサiroha 様
オレンジ11 様
綿貫まりぶ 様
彩夏 様
藤光 様
洩神零二 様
一視信乃 様
いちごにゃん 様
青野ハル 様
宮草はつか 様
星成和貴 様
斉藤希有介 様
六月 様
AKARI YUNG 様
三上コシカ 様
チョコ林檎 様
水瀬ふみ 様
あやまるねこ 様
ドゥギー 様
増田朋美 様
アルキメイトツカサ 様
水音芽生 様
さいとう みさき 様
静嶺 和泉 様
つきの 様
房成 あやめ 様
漆葉響 様
白石 幸知 様
こたろう 様
西フロイデ 様
負け犬アベンジャー 様
青澄 様
押羽たまこ 様
泡沫 希生 様
風崎時亜 様
弥七煌 様
薙刀 nagi 様
水凪 らせん 様
クローン人間 様
凍てつけ 様
Han Lu 様
夕凪 様
吾野 廉 様
新吉 様
あいる 様
佐々木悠 様
文屋旅人 様
永遠 様
齋藤瑞穂 様
切り株ねむこ 様
かげひかり 様
wazzwallasis 様
陽月 様
鳥の音 様
ウィザード・T 様
lager 様
戸松秋茄子 様
武石雄由 様
大地 鷲 様
薮坂 様
白猫 様
ふるかわ かな 様
淡路結葉 様
松本 せりか 様
カワゥソ 様
水円 岳 様
みしょうかん 様
奈月沙耶 様
栞屋こと 様
須戸 様
瀬夏ジュン 様
蜜柑桜 様
ゆうすけ 様
夏緒 様
NkY 様
白衣 雲 様
守株 様
佐々木 祐 様
秋の庭 様
藤崎五日 様
和泉ユウキ 様
彌猴桃 様
月原蒼 様
竹鋸椎武 様
久浩香 様
琥珀もどき 様
……and 草薙 健(タケル)
ありがとうございました。
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