よろしい、ならば統計だ。(7 犬派? 猫派?編)

 キンコンカンコーン。


 注意書きです。

 今回の小説(?)は、二〇二〇年一月二十九日に作成されたものです。できれば、統計編の初回(https://kakuyomu.jp/works/1177354054893608096/episodes/1177354054893881104)を読んでからこちらをご覧ください。よりお楽しみ頂けると思います。

 なお、(前回も書きましたが)データの正確性は保証されておりません。「へぇ~、こんな傾向なんだね」と気軽に見てくださると助かります。


 それでは、本編をお楽しみください。


 ――――――――――――――――


 俺の名前は草薙くさなぎタケル。今日も今日とてカクヨムという大海原をもがき苦しみながら泳いでいる、永遠の厨二病だ。

「タケル君、あなたは犬派? それとも猫派?」

 唐突に質問を投げかけてきたのは、俺の幼なじみであるとう景子けいこだ。何の脈絡もない話題をいきなり振ってくるのはいつものことなので、俺は特に突っ込みもせず真面目に答えた。

「犬だな。自転車と一緒に走ってくれる犬を飼いたい」

「なんかタケル君らしいわね。私は猫派よ。モフモフした毛並みの猫が特にカワイイ!」

「そう言えば、カクヨムの『一〇〇の質問』企画の第七問目がこの話題だったな」

「ほんと!? うわー、気になる。もう分析したんでしょ?」

 景子が目を輝かせて俺のことを見つめている。

「……百十七人分のデータを手作業で集計するのに、どんだけ時間がかかったと思う?」

「知ったこっちゃないわ。もったいぶってないで教えなさいよ」

「はい、分かりました。ケイコちゃん」


(これを書いている人の心の声:実は五分しかかかってません。データの下処理は全部終わっているので、目視で犬か猫かをキーボードで打ち込むだけなのです。まぁ、好きでやってると地道な作業も苦になりませんね。小説の執筆も同じです)


「発表する前に言い訳をしたいんだけど、いい?」

「なによ」

「曖昧な答え方をしている人に関しては、俺の独断と偏見でカテゴリーを振り分けたんだ。例えば、昔は犬派だったけど今は猫派って書いていた人は、猫に分類したよ」

「……まぁ、それはしょうがないわね」

「もしかしたら意図しないカテに分類されちゃったかも知れないけど、ご了承ください」

「私からも謝るわ。ごめんなさい」

「ということでお待たせしました。結果の発表です!」



 第七問『7 犬派? 猫派?』の集計結果は――こうなった!


 百十七人が答えました。

 ――――――――――――――――

 犬派    :二十六名 (22.2%)

 猫派    :五十八名 (49.6%)

 両方好き! :十八名 (15.4%)

 両方ダメ……:四名 (3.4%)

 その他   :十一名 (9.4%)

 ――――――――――――――――



「やったわ! 圧倒的に猫派の勝利ね!」

「両方好きとあわせて六十五パーセントか……犬派の俺としては残念だ」

「回答者の男女比って関係してるかな?」

「いや、分からない。性別は統計をとってないからな。今回の趣旨は、あくまで質問の内容だけからデータを抽出することだ」

「ふーん、そっか。ところで気になるんだけど、『その他』って何?」

「犬でも猫でもない動物を挙げた人たちだ。『鳥』派が三名いたぞ。なお、熱烈な『アザラシ』愛を語ってた方はアニメ『少年アシベ』をはよっ! って、俺の知らない間にアシベの新作が出てるぞ(※)!? しかもアニメ制作委員会にKADOKAWAの名前が!」

「あなた、どんだけKADOKAWAにび売るつもりなのよ……」


(※ 少年アシベ Go!Go!ゴマちゃん)


「えー次は、前回と同じく『KH Coder 3』を使った分析結果の紹介だ」

「ごめん。KH Coder 3のことをもう忘れちゃったわ」

「計量テキスト分析ツールね。文書構造をプログラムでちゃちゃっと処理して、何らかの結果を出してくれるものだよ。詳しくは、前回の更新分を読んでくれ!」

「しょうがないわね、後で読んであげるわよ。それで、今回はどんな結果を見せてくれるの?」

「今回紹介するのは『対応分析』だ」

「たいおーぶんせき? EU欧州連合に喧嘩でも売るの?」

「どうやったらそんな難しい『対欧』の方に脳内変換されるんだ……。対応分析というのは、クロス集計表をもとにして行の変数と列の変数との対応関係を――」

「タケル君、日本語でお願いします」

「ごめんごめん。一言で言うと――


『猫派の人はどんな作家の本を読んでいるのか?』


 を分析したぞ!」

「え、そんなことができちゃうの!?」

「どうだすごいだろ。多分、世界初だぞ」

「それは分かんないけど、なんか面白そうね」

「これも本当は二次元で可視化した図を見た方が分かりやすいんだけど、カクヨムは図をアップロードできないんだ。

 幸い『犬が好きな人』、『猫が好きな人』、そして『両方好き』がほぼ一直線に並んでて、『その他』がちょっとはずれてるだけだから、がんばって文字で説明するよ」

「あれ? 『両方ダメ』派は?」

「データ数が少ない上に滅茶苦茶遠い位置にあったから、今回は除外することにした」

「わかったわ。がんばって、タケル君!」



 それでは結果を紹介します。スマホなどの小さい画面で見ると、レイアウトが崩れる恐れがあります。大きい画面で見ることを推奨します。分かりにくいかも知れませんが、ご容赦ください。

 ――――――――――――――――

『犬が好きな人』に近い存在で、かつ『犬も猫も両方好きな人』から最も遠い存在の作家はこの方々だ!(敬称略)

 この辺

( ○―『犬』―『猫』―『両方』)

     ∟『他』」


『島崎藤村、立原えりか、エミール・ゾラ、紀貫之、ダン・ブラウン、田中芳樹、京極夏彦、紅玉いづき、アイザック・アシモフ、向山貴彦、万城目学』


 ――――――――――――――――

『犬が好きな人』に近い存在の作家はこの方々だ!

 この辺

(『犬』――『猫』――『両方』)

   ∟『他』」


『上橋菜穂子、江戸川乱歩、池波正太郎、小野不由美、住野よる、アガサ・クリスティ、中村文則』


 番外編『ヴェネチア、フィレンツェ、鬼滅の刃、東京オリンピック』


 ――――――――――――――――

『犬が好きな人』と『猫が好きな人』の中間くらいに位置する作家はこの方々だ!

    この辺

(『犬』―○―『猫』――『両方』)

   ∟『他』」


『夢野久作、山田詠美、田辺聖子、伊藤計劃、渡航、荻原規子、湊かなえ、野梨原花南、貴志祐介、島田荘司、梶浦由記、司馬遼太郎、綾辻行人』


 番外編『現代ファンタジー、米津玄師、ウユニ塩湖、カルロス・ゴーン』


 ――――――――――――――――

『猫が好きな人』に近い存在の作家はこの方々だ!

      この辺

(『犬』――『猫』――『両方』)

   ∟『他』」


『ミヒャエル・エンデ、有川浩、小川洋子、宮部みゆき、三浦しをん、泉ゆたか、青山美智子、城平京、宮沢賢治、芥川龍之介、高野史緖、太宰治、千早茜、有栖川有栖、はやみねかおる、原田マハ、赤川次郎、梶井基次郎、乙一、原田宗典、五木寛之、道尾秀介、みうらじゅん』


 番外編『異世界ファンタジー、アニソン、ソードアート・オンライン、ローマ』


 ――――――――――――――――

『猫が好きな人』と『犬も猫も両方好きな人』の中間くらいに位置する作家はこの方々だ!

         この辺

(『犬』――『猫』―○―『両方』)

   ∟『他』」


『村上春樹、星新一、ブランドン・サンダースン』


 ――――――――――――――――

『犬も猫も両方好きな人』に近い存在の作家はこの方々だ!

           この辺

(『犬』――『猫』――『両方』)

   ∟『他』」


『西尾維新、夢枕獏、三雲岳斗、恩田睦、永井路子』


 ――――――――――――――――

『犬も猫も両方好きな人』に近い存在で、かつ『犬が好きな人』から最も遠い存在の作家はこの方々だ!

             この辺

(『犬』―『猫』―『両方』―○ )

  ∟『他』」


『光瀬龍、深沢美潮、宮脇俊三、片岡義男、江國香織』


 ――――――――――――――――



「番外編って何?」

「全文を処理にかけてるので、作家以外のキーワードも拾ってるんだ。『異世界ファンタジー』とかのキーワードは、三問目の『3 どんな作品を書いていますか?』に関係してると思うな」

「なるほど。それで、タケル君はこの結果をどう思うの?」

「うーん、犬派、猫派、両方好き派の分類は、好きな小説のジャンルと相関関係がありそうだね」

「どういうこと?」

「犬派は『現代、現代ファンタジー、ハードSF』、猫派は『ローファンタジー、ハイファンタジー』、両方好き派は『なんでもあり』な印象だね」

「たしかに、番外編のキーワードもそんな位置関係になってるわ」

「大御所の名前を見ると分かりやすいかな。

 例えば島崎藤村は犬派に近く、猫派からは遠い。彼は自然主義文学と言って、あらゆる物事に対して事実のみを表現しようという文学を志した人だ。これは妄想空想てんこもりのファンタジーとは対極の存在だ」

「犬派に含まれてる小野不由美先生は、ばりばりファンタジーだと思うけど?」

「それはそうなんだけど、この結果に俺は不思議と納得なんだよな。実際、俺はSFとミステリー成分の人間だけど、彼女の『悪霊シリーズ』は好きだ」

「不思議ね……。それを言えば、宮沢賢治、芥川龍之介、太宰治が猫派に近いのは私も納得よ。なんていうか、不思議な感じがいいの」

「そういうものなのか」

「そういうものよ。あと、村上春樹御大と星新一が他の作家群から独立してるのがおもしろいわね」

「この結果は予期してなかった。もっとデータ数を増やして分析してみたいところだ」



「さてケイコちゃん。今回の感想は?」

「満足よ。猫派圧倒的大勝利だったし」

「犬派を代表して言いたい。犬もカワイイよ!」

「もちろんよ。チワワに見つめられた日にはキュンキュンしちゃう」

「ところで、テキストマイニングについてはどう思う?」

「少しその技術に興味が出てきたわ。これって、いわゆる『人工知能』って言われるものなの?」

「『人工知能を構成する一つの技術』と言えばいいかなぁ。少なくとも、『人工知能そのもの』ではないね」

「難しいことは分からないから、もう人工知能でいいや」

「いや、ケイコちゃんみたいに言う人がいるから人工知能って言葉がバズワード化するんだけど……」

「まぁ、細かいことは気にしない気にしない。でも、テキストマイニングのおかげで、私が薦める本をタケル君が読みたがらない理由が少し分かった気がするわ」

「そうだろ? あんなにファンタジーばっかり持ってこられても困るんだ」

「ダメよちゃんと読まなきゃ。作家としての幅が広がらないわよ?」

「うーん、それを言われると辛い。しょうがない、今度読んでみるとしよう」

「分かったわ。今度五十冊くらい持って行くね!」

「うげぇ、トホホ……」

(いやー、タケル君は犬派だから調教するのが簡単で助かるわー)

「ん? 何か言った?」

「いえ、何も!」


(続く?)



 ――――――――――――――――


 以下は、統計に使用した人のリストです。

 統計対象:百十七名(順不同)


 いいの すけこ 様

 月波結 様

 たまきみさえ 様

 嵯冬真己 様

 IccO_OmmI 様

 0516 様

 神谷そら 様

 狐雨夜眼 様

 永谷 瞬 様

 継月 様

 如月芳美 様

 いとうみこと 様

 ばびぶ 様

 片瀬智子 様

 宇部 松清 様

 木元 宗 様

 ハヤブサiroha 様

 オレンジ11 様

 綿貫まりぶ 様

 彩夏 様

 藤光 様

 洩神零二 様

 一視信乃 様

 いちごにゃん 様

 青野ハル 様

 宮草はつか 様

 星成和貴 様

 斉藤希有介 様

 六月 様

 AKARI YUNG 様

 三上コシカ 様

 チョコ林檎 様

 水瀬ふみ 様

 あやまるねこ 様

 ドゥギー 様

 増田朋美 様

 アルキメイトツカサ 様

 水音芽生 様

 さいとう みさき 様

 静嶺 和泉 様

 つきの 様

 房成 あやめ 様

 漆葉響 様

 白石 幸知 様

 こたろう 様

 西フロイデ 様

 負け犬アベンジャー 様

 青澄 様

 押羽たまこ 様

 泡沫 希生 様

 風崎時亜 様

 弥七煌 様

 薙刀 nagi 様

 水凪 らせん 様

 クローン人間 様

 凍てつけ 様

 Han Lu 様

 夕凪 様

 吾野 廉 様

 新吉 様

 あいる 様

 佐々木悠 様

 文屋旅人 様

 永遠 様

 齋藤瑞穂 様

 切り株ねむこ 様

 かげひかり 様

 wazzwallasis 様

 陽月 様

 鳥の音 様

 ウィザード・T 様

 lager 様

 戸松秋茄子 様

 武石雄由 様

 大地 鷲 様

 薮坂 様

 白猫 様

 ふるかわ かな 様

 淡路結葉 様

 松本 せりか 様

 カワゥソ 様

 水円 岳 様

 みしょうかん 様

 奈月沙耶 様

 栞屋こと 様

 須戸 様

 瀬夏ジュン 様

 蜜柑桜 様

 ゆうすけ 様

 夏緒 様

 NkY 様

 白衣 雲 様

 守株 様

 佐々木 祐 様

 秋の庭 様

 藤崎五日 様

 和泉ユウキ 様

 彌猴桃 様

 月原蒼 様

 竹鋸椎武 様

 久浩香 様

 琥珀もどき 様

 ホシノユカイ 様

 ワルク 様

 ミナミタケピコ 様

 仁志 水ぎわ 様

 結恵 様

 麒麟屋郁丸 様

 オリーヴの森の吟遊詩人 様

 鹽夜亮 様

 華やぎ。 様

 めゐ 様

 月夜 葵 様

 葉乃ヒロミ 様


 ……and 草薙 健(タケル)


 ありがとうございました。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る