第6話

 ……超大型ハリケーン王国接近まで残り2時間を切り、痛手を負いながらも、なんとか勇者の自宅にたどり着く3人は早速、

 破壊デ・ストラクションの岸壁魔法の力で、勇者の自宅を魔法結界が包み込む。

 だが魔王は何を思ったのか?試しに全力でも壊れないか結界強度テストを行った所。呆気なく結界を破壊し、ついでに壁までも破壊した。 

 ウェルス王国に超大型ハリケーンF5上陸する。

 雨風を凌ぐ防水シートは限界突破されて、勇者と魔王は穴を塞いだ地下室に緊急避難していた。

 地下室で寝ているふたりだが、睡眠をかき消すほどの音の大きさには抗えず、寝るのをやめた。

「ほんと……災厄だ。なんでお前なんかと一緒にいるんだ。」

「好きだからじゃないの⁈」

「だ、だれがお前を好きになるか⁈お前と一緒に居ると息が詰まる。地の果てまで離れろ!!」

 にやにや笑う勇者のことを壁際まで鉄拳を喰らわし、毛布を独り占めする。激おこの魔王から果敢にも毛布を取り返そうとするが、生憎失敗に終わる。

 全ての毛布をとられた勇者は寒さを凌ぐために体を丸めて体温を維持する試みも、所詮文明を求めた人類。毛のない生き物など数分もたてばくしゃみは止まらない。

 そんな勇者など御構い無しに魔王は寝ていたが、勇者のしつこいくしゃみに嫌気をさして"本当は嫌だが"毛布を返してあげた。

 しかし毛布を受け取らない勇者に、魔王は声を荒らげる。それでも反応は皆無で、勇者を揺さぶると、顔を真っ赤させる勇者の額を叩きながら確認したら、案の定熱を出していた。

 辛そうな表情に魔王は嫌々防災バッグから『トリプルチャージャーX51』と書かれた薬箱を取り出して4錠飲ませる。

 献身的な魔王の看病のおかげで次の日には元気を取り戻す。

 勇者の傍にはスヤスヤと眠る魔王の寝顔を見て、起こさないように地下室から出た勇者が見たものは、大草原が広がる。

 王国を通り過ぎた超大型ハリケーンは温帯低気圧にかわり、雲一つない青空の下で勇者達は業者を待つ。

「アレ⁈屋根の修理で伺ったんですけど。」

 屋根専門の修理業者が来たところで、家を直すのはまた違う専門業者で、そこにお問い合わせしたところ、昨日のハリケーンの被害は稀に見ぬもので、勇者の家を直しに来るのは1ヶ月後に決まり。その間、勇者と魔王は危険である王都に、しばし暮らす事にした。

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『勇者』魔王と結婚した。 Φ @a576

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