第8話 休むことが出来なくなる

「平日は足手まといをやらかしているんだから休日に挽回しなくてはならない」

 とか

「充実した完璧な休暇をしなければいけないのに、時間があればアレもできた、コレもできた、なのにお前は怠けてばかりで何もしない!」

 という謎の言葉が身体の内側からわいてきて休日横になっても休めない。


 うつ病にかかると何が問題かというと「休めない」これが非常に大きいです。

 特に日本人は休むのが「とんでもなくへたくそ」なのでうつで長期休暇を取ってもうまく休むことが出来ない方が非常に多いです。




 うつ病など精神疾患にかかると「休んでください」とよく言われますが「自分だけ休むのは面目ない」とか「休むことで周りに迷惑をかけている」とか、

 さらには「長期間休むことで日常が崩壊してしまうのではないのか?」とか「ここで休むと社会的信用を何もかも失ってしまい無になってしまうのでは?」とか、

 はたまた「ここで休むと理想の人生プランが滅茶苦茶になってもう取り返しがつかなくなってしまうのでは?」と思って

 ベッドで横になっても心の中は常にあせりすぎていて精神的にちっとも休まらない。ということは非常によくある話です。私も今でも時々こうなります。


 おそらくうつが長期化する理由というのは「精神的に休むことが出来ない」からだというのも1つの大きな原因だと思います。

「休むことは怠けることだ。働け働け、社会貢献しろ」と自分で自分を追い込んでいく。

 でもうつになると身体も頭も動かないわけで、それこそ本当に酷ければ「トイレに行くことすらできずにベッドの中で漏らしてしまう」事だってあります。

 それを見てますます「内側からの声」が激しくなっていって自分にムチを打つ。


 その結果もう自分ではどうしようもなくなって自殺。という最悪な結末になってしまいます。




 特にメンタルを病むとまず思考回路がおかしくなってしまって正常な判断が出来なくなってくるので、こればかりは周りの人が「強制的に止めさせる」位の事はやっていいでしょう。


 今のところは「うつ」を始めとした精神疾患というのは「脳の病気」であるという見方が強いです。なので「おかしくなった脳」がいくら考えても「おかしな結論」しか出てきません。

 第1話で「推しのDVDやブルーレイを見ても「俺なんて死んだほうが推しの彼女のためになる」と思ってしまう」と書きましたが、

 これこそ「おかしくなった脳」がいくら考えても「おかしな結論」しか出てこない、その例です。


 ではどうすればいいのか? となりますと「家の内外に関わらず落ち着ける場所を見つける」事がよさそうです。

 特に家族がメンタルの病に詳しくない場合は偏見を持たれることがあり家の中が落ち着けない、という事もあるでしょう。

 そうしたら(動けるのであれば)家の外に落ち着ける場所を求めるようにしたほうが良いかもしれません。

 例えば図書館や喫茶店、ネットカフェ、あるいはグループホームといった外に居場所を求めるというのもありですし、どうしても居場所が見つからない場合は「入院」という手もあります。


 何も家の中にこもりっきりというのが休むことだとは限らないわけなんですよ。

 人によっては「トレーニングジムの中で運動すること」が落ち着ける場所だったり事だったりするし「カラオケで叫ぶように歌う」が落ち着ける場所や事だったりするんです。

「家の中にいることが安心できない」というのは当たり前のように起こることだし、それで悩む必要はないでしょう。




 それと「自分が休むことで会社が回らなくなってしまうのでは?」という恐怖で休めない人も多いと思いますがそんな心配はいりません。

 アメリカのリンカーン大統領はある日突然暗殺されてしまいましたがそれでもアメリカは平常運転してましたし、ジャニー喜多川さんが死んでもジャニーズ事務所は回っていました。

 あなたが休んだくらいで会社が回らなくなる。なんてことはまず起きないので安心して休んでください。




【次回予告】


「うつは怠け病。本当は動けるのに動けないフリをしてるだけだ」そんな心無い声もあるでしょう。

ですがメンタルをこじらせた人は常に戦っています。それも終わりの見えない、あるいは終わりが存在しない戦いをずっとずっと。


第9話 「うつは怠けているわけではない。むしろ必死に戦っている」

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