31話まで読みました。
良いエンターテインメント。これは良いエンターテインメントだわ。
構成が上手いですね。
ほぼ毎回ひきが上手く、先を期待させつつも、展開がスムーズでストレス無く読めます。それでいて、伏線も自然で脱帽しました。
6話あたりから読む手が止まらなくなりました。
続きを……続きをくれ……(禁断症状)
ボカロにはまるオタク学生達の甘酸っぱい青春とホラー描写に最初の方は惹き込まれました。しかし、いつの間にやら骨太ホラーミステリーとして楽しむようになってきました。
ミステリーの趣が強まってきてもなお、チャリオ達の小粋な会話が続くので、非常に読み易いです。
ホラーミステリーとしても青春物語としても続きを楽しみにしております。
同時に、ホラーミステリーでありながらも、身近な要素(今回だと私はボカロでした)が加わった同作者の別作品も読みたくなりました。
電子音楽部に所属する男子高校生のツナは、ある日、友人のタクが自宅の部屋で変死体となって発見されたという知らせを聞かされる。外傷がないにも関わらず内臓が破裂するという不可解な死因に疑問を抱いたツナは、死の真相を探るうちに一曲の音にたどり着く……。
ボカロやDTMという電子音楽に着目しつつ、「音楽で人は殺せるか」をテーマにミステリーを描いた異色の作品です。
ツナは被害者が死の直前に音楽を聞いていたことを手掛かりに、音による呪術や言霊、超常現象はありえるのかと女子高生巫女をブレーンに捜査をはじめる。
曲を機材にかけて分析してみると、そこにはツナにも馴染み深いボーカロイドを悪用した仕掛けが隠されていてと、オカルトとデジタルの融合した殺人トリックに慄きます。
ツナの周辺で同様の事件が立て続けに発生し、危険な曲をバラ撒く黒幕の正体に迫っていく緊張感がハラハラドキドキさせます。
音楽は人を魅了する素晴らしい文化である一方、人を狂わせる危険な魔力も持っている。音楽との付き合い方を考えさせられる一作です。
(音楽を題材にした作品特集/文=愛咲 優詩)