【短編】青春吹雪きの熱の冷たさ

室ヶ丘

第1話汗の感触

                               

「ここでの出会いはここまでだよ。」



 

告げるのは高校体育館裏の午後昼過ぎで桜 吹雪いて4月の空が眩しく照っていた。


所詮僕と君はここまでかもしれない。

でも想いは確かだった。


泣きそうになるのを我慢するし手に汗を 握った。

確実なのは僕が男である事、青春真っただ 中の青い男なのである。      



知らない男の便りが書かれた手紙。


嗚呼、とっくの昔に終わっていたのだ、僕 の気持ちは何処へ行くのだろう。僕達を見 ている確信犯の様な日の光はジリジリと制 服姿の二人の熱を上げる。それとは        照的 な心境は海の底の様に暗い。

遂には僕の存在意義に達してしまう、それほど真剣で情のある境地は現代の若者その ものでもない、

昔も今も同じなのだ。

俯きこう呟く。息を吐く音交じりのその声 は泣きそうで、心もとない。


「こちらこそ、ありがとうございました。」


別に敬語じゃなくても良かったかもしてな いのに、敬語になってしまう。気色の色が 激しい。

目を瞑り一気に走り出す。


もう気持ちを感じたくなかった。


夜眠れず、朝を迎える。

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【短編】青春吹雪きの熱の冷たさ 室ヶ丘 @nekoyoyo773

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