8.
「ねぇ、どうしちゃったの?何か悪いことあった?」
気づいたら私の横にいて、話しかける。
「...失礼だと思ったから」
「え?」
「失礼だと思ったの。あそこにはきっと学園祭に懸ける想いが人一倍強い人ばかりで。そんな中に私が混ざるのは失礼だと思った。だから入らない、それだけ」
もうこの人と会うきっかけは確実にない。当然他の学園祭有志隊も。
だから、もうどんな態度とってもどんなこと言っても関係ない。
「...熱量の違いは確かにめんどくさい」
彼はボソッと聞こえるか聞こえないかくらいの声で呟いた。
邪魔する雑音はなくて、その声を聞き取るには十分だった。
「でも、二階堂さんはたぶんやる気なくても頑張ってしまう人だ」
「...え?」
「他の委員は図書室なんか誰も行かないからって委員をさぼっていたわけでしょ?1年でもサボるくらいだし。でも、二階堂さんはサボらなかった。おまけに他の委員の人の仕事までやってる」
「それは図書室が好きだから、暇つぶしにいるだけで」
「でも、仕事を担う必要ないじゃん。それは誰かがやらなきゃいけないって思っているからじゃないの?」
事実を突かれて私は言葉が返せない。
彼の目を見てしまったら負けてしまうような気がした。
言葉がまっすぐ突き刺さってくる上に、顔を見てしまったら彼の言っている事にも何もかもにも囚われそうな気がしたから。
「私、部活行ってないし。そんな小坂くんが言うような人じゃないよ」
「部活は強制入部だし、天体観測部なんて学祭以外大した活動してないじゃん。...俺が言いたいのは熱量の違いなんていいよ。一緒にやってくれるんならさ」
彼はそう言い残して私を抜かして先を歩いて行った。
私はその場に立ち尽くしてしまった。
最高の夢は目覚めてる時に見る。 優晴 @ichigoso-da
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