7.
「...ごめんなさい、今日は帰ります。ちょっと用事を思い出しました」
お辞儀をし、ふらふらと教室を出る。
態度悪かっただろうな、まぁいいやと思いながら下を向く。
後ろから気を付けてね、という声が聞こえたり入局待っているよという声がまばらに聞こえる。
「ちょっとまって!」
急に呼ばれた大きな声に思わず振り返る。
主は顔を見ずともわかる、小坂だ。
え、呼び止められた?今。瞬きを繰り返して思わず立ち尽くす。
「俺も今日親におつかい頼まれたの思い出したんで、...帰りまーす」
軽いその一言を放ち、こちらにズカズカ歩いてくる。
オレンジのつなぎの集団は状況が読み込めないように口をポカンと開けてドアの前に立っている。
「ちょっと、何してんの...。」
「一緒に帰りましょ。俺自転車通学なんですけど駅のほうまで行くんで」
「いや、そうじゃなくて...」
「ちょっと気にかかることがあるから」
表情を読み取ろうとするけれど、何を考えているのか全く分からない。
私の態度に怒っているのか、本当に用事なのか。いや状況的に用事ではなさそうだ。
状況理解が追い付けず、私よりも速い速度で歩く彼を追いかける。
追いかけながら謝罪の意味も込めて、オレンジのつなぎ集団にもう1度お辞儀する。
ニコニコと手を振りかけてくれたつなぎたちはどこかいたずら気に笑っているようにも見えた。
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