私の辞書

ドルファイ76

第1話 自分の辞書

人間は自分の辞書を使って人と会話する。


話をしている相手も自分の辞書を使って会話をしている。




とすると相手と話し合った内容は


百パーセント一致していないのではないか?


そんな疑問が湧いてくるかもしれない。




そうかもしれない。




であれば、この世界で誰とも分かりあえないのでは?


そんな虚しさから、対話を諦めてしまうかもしれない。




それでも


対話した方が良いと私は提案したい。




なぜなら、そこに可能性が存在しているからだ。




自らの辞書で認識できる範囲は、あくまでも自身の可動域に制限されている。


そこに新たなる知見を追加していくことに限界があるだろう。




これは当たり前の事かもしれない。




例えば、私達が読書をすると、それは著者と対話していることになる。


特に意識せずとも相手の話を聞いているのだ。




そして本の内容を理解して、必要であれば自分の辞書を更新している。




とすると「分かる」とは、自分自身を更新すると言うことである。


つまり、理解した時点で変化しているのだ。




分かることは、他者があって初めて存在できる。


そこには可能性が溢れていると私は思いたいのだ。


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