第23話


「まさか、ここか?」

「うん、そうだよ。」


一ノ瀬に連れられて入った店は意外なことに焼肉店だった。

女子高生が昼間から焼肉とか、梨奈も特に嫌がってるわけではないし、普通なのか?

てかしっかりと高級焼肉店なあたりやはり金持ちだな。


「そういえば、今日はいのりいないんだな」

「いないよ。てか休日まで一緒に過ごす方が珍しいよ」

「ボディガードってのは四六時中護衛対象を護衛するもんだろ」

「それは正式なボディガードはそうだけど、あくまでも学生のボディガードだからね」


言われてみればそうだな。


「てことは俺も別に休日まで護衛しなくてもいいのか」

「あんたはダメよ」

「なんで?」

「あんたは私が正規に雇ってるの。学生だからとかは関係ないわ。それに休みの日は作ってるでしょ」

「お前がどこにも行かない日だけだろ」




「前から気になってたけど、空くんと梨奈ってどこで出会ったの?」

「何でそんなこと気にするのよ」

「気になるから!」


一ノ瀬は前屈みになり梨奈に近づく。

梨奈は鬱陶しそうに一ノ瀬の顔を押し戻す。



梨奈は俺との出会いは言いたくはないだろうな。自分が誘拐された所を助けられたとかこいつは死んでも言わないだろ。


「私たちのことはいいでしょう。それより初羽と優愛ちゃんとの出会いを聞かせなさい」

「梨奈は優愛のファンだから気になるの?」

「悪い?」

「いや全然!」


梨奈の凄みのある睨みに一ノ瀬は滅相もないと手をブンブンと振る。


「ええっと私たちの出会いはモデルになる前だね」

「そうなのね」

「うん。私が落とし物をして困ってる時に声かけられて、事情を話したら一緒に探してくれたの」

「やっぱり噂通り優愛ちゃんはいい子ね」

「それから私がモデルを始めて、たまたま現場が同じだった時にまた会ってね。その時初めて川空優愛だって気づいたの」

「最初に会った時は気づかなかったんだな」

「優愛ってプライベートの時は全く気づかないんだよね。気配がないっていうか周囲に溶け込んでるって感じ。おしゃれしててばっちりメイクしててもなんだよね。だから優愛ってプライベート結構満喫してるみたい」





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護衛人〜ボディガードと学生の両立は難しいようです 岡島冬馬 @mmmmmmf

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