第53話

 おい。


 何で俺が告白してんだよ。


 バカなのか?告白に応えれないって言ってるのに何で逆に俺が告白してんだよ。


 一つも意味が理解できない。


 そりゃ雰囲気は出てたよ、でも最初に決めたじゃん断るって。


 何でだ、何で俺から告白したんだ?


 もっと自分に問え。


 何で俺から告白したってことを。


 そんなこと最初から決まってたんだよ。


 俺が佐々木のことが心の底から好きだからな。


 これが俺の本心で本音だからだ。


「これからもよろしくな佐々木」


「……っうん」


 観覧車の中で告白して恋人になるのは俺と佐々木にしてはロマンチック過ぎたか?


「浅野!」


「うわっ」


 佐々木は嬉しくて仕方ないのか俺に抱きついてきた。


 観覧車の中なのに。


「バカ。観覧車の中だぞ」


「別にいいじゃん。どうせ落ちないんだから」


「そうだとしてもなぁ」


 めっちゃ揺れてるよ、めっちゃ怖いよ。


「何で急に抱きついてきたんだ?」


「だって嬉しいんだもん」

 

 可愛い奴め。


 はい俺の彼女です。


「恋人同士になったんだから名前で呼び合おうよ」


「えー普段苗字で呼んでるから名前忘れた」


「本当に、嘘でしょ?」


「嘘だよ、香奈」


「も〜」


 危ねぇ、寺田が普段香奈ちゃんって言ってたからギリ覚えてた。


「ほら、俺の名前も呼んでくれよ」


「え?」


 こいつもしかして。


「お前もしかして俺の名前知らないな?」


「えへへ」


 こいつ…


「信な、信」


「ねぇ信」


「なんだ?」


「えへへ、呼んでみただけ」


「何だそれ」


 香奈めっちゃかわいい。


 そんなやりとりをしていると観覧車は地上に着いた。


「寒いね」


「ああ寒いな」


 外はすっかり寒くなっていて、雪も降り始めてきている。


「寒いし、うち来るか?」


 別にいやらしい気持ちは無いよ?多分。


「いいの?じゃあ行こっかなぁ」


「じゃあ行くか」


 彼女が俺の家に来る。


* * *


 彼女が俺の家に来た。


「どうぞ入って」


「お邪魔します」


「別にそんなかしこまらなくていいぞ、一人暮らしだし」


「え!そうなの」


「そんなことより俺のご飯を食べるか?香奈と違ってめっちゃくちゃうまいぞ」


「私だって上達してきてるもん」


「本当か?あの時のクッキーは酷かったぞ」


「それはもう忘れてよ」


「分かったよ。とりあえずリビングで待っといてくれ」


「はーい」


 よし、料理作りますか。


 キッチンに向かって冷蔵庫にある食材を確認する。


「香奈。苦手な食べ物とかある?」


「ないよ〜」


「あんまり物色するなよ」


「ちょっとだけだから」

 

 別に見つかって嫌な物はないから良いか。


 生姜焼きでも作ろっかな。


 キャベツの千切り楽しい♪


 俺が作る生姜焼きは玉ねぎも入れている、だから玉ねぎも切る必要がある。


 生姜焼きのタレそのもの売ってが、俺はタレを作る。


 良い匂いがしてきた。


「おーい出来たぞ」


 香奈の返事がない。


「おーい」


 香奈を呼びに行こうとリビングへ向かう。


「おーい」


 リビングに行くと香奈がいきなりリビングから出て行ってしまった。


 トイレか?


 するとガチャっと家のドアが開く音がした。


 は?何で家から出て行くんだよ。


 リビングの方へと目を向けると何故か置いてあった



 お母さんの俺への手紙が。

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