第48話

 昨日は佐々木と夜抜け出したからかなり眠い。


 あのあと先生に見つかりそうになってマジで焦ったなぁ。


 見張りの先生がいたけどなんとかなった。


 先に怒られてる奴がいたからそいつらを犠牲に俺たちは自分の部屋に帰ることができた。


 ていうか、旅館の朝ごはんってこんなに美味しいの?


 メインが一つドーンッてあるわけじゃなくて、小物がいくつもあって飽きることなく楽しく朝ごはんを食べることができてよかったなぁ。


 朝はパン派だったけどごはん派になるのも悪くはないのかもしれない。


 だけど、パンの方が焼いてマーガリン塗るだけだから楽なんだよ。


 まぁそんなことは置いておいて今日の自由行動の話だけど、どうやら太宰府天満宮に行くらしい。


 年間1000万人以上が訪れ、毎年多くの参拝者に愛され親しまれ続けている神社らしい。


 太宰府天満宮のお守りがどうやらめちゃくちゃ可愛いらしい。


 可愛さだけじゃなくてどんなご利益があるかでお守りを選んでほしい。


 そういうところ女子だなぁ。


 さてと、そろそろ佐々木らが待ってる玄関に行くか。



「浅野、おそ〜い」


「なんでそんなに遅いの?」


 着くと女子二人に怒られてしまった。


「いやいや、お前らが早すぎな」


「早く行こっ」


 女子二人は俺が着いてすぐに移動を開始した。


「森は太宰府天満宮でよかったのか?」


「別に行きたいところはなかったし、あの二人の行きたいところに付いていけばなんとなく観光できるかなぁって」


 おいおい、俺と森は結婚したら尻に敷かれるタイプになるのかな?


 

 電車とバスを駆使して太宰府天満宮へと向かう。


 結構歩き続けたから喉が渇いてきた。


「なぁちょっと休憩しないか?」


 俺は三人に休憩を提案する。


「そうだね、ちょっと休憩しよっか」


「私、飲み物買ってくるね」


 お、佐々木のくせに気が利くじゃん。


「じゃあ、私は温かい紅茶で」


「俺は水で」


「俺は冷たいお茶で」


 それぞれが佐々木に小銭を渡していく。


 俺は緑茶が好きだからなるべく緑茶にして欲しいけどお茶だったらなんでもいいかな、と思い、特に注文はしなかった。


「じゃあ、行ってきまーす」


 佐々木は俺たちの飲み物を買いに行った。


「浅野は昨日香奈ちゃんと二人きりで抜け出したんでしょ?」


「なんで知ってんだよ」


「だって香奈ちゃんが言ってたから」


「まぁ別にいいけど」


「で、昨日はどこまでいったの?」


「俺も気になる」


「は?そこまで遠くには行ってないけど」


「そこで天然はいらないわ」


 なんか腹立つな。


「最低でも手ぐらいは繋いだでしょ?さすがに」


「いや、昨日は飯食って旅館に帰っただけだから」


「「ええ〜」」


 やっぱり腹立つな。


「俺と佐々木はそういう関係じゃないから。そもそも俺は」


「買ってきたよー」


 佐々木が飲み物を買って戻ってきたらしい。


「見て見て、こんなの売ってた」


 佐々木は一つの缶を俺たちに見せつける。


 みそ汁と書いてあった。


「へー珍しいな」


「でしょでしょ、はい、浅野」


 ?


「いや、それみそ汁」


「うん」


「うん、じゃなくて、俺お茶頼んだんだけど」


「浅野みそ汁飲みたかったでしょ?」


 俺と目を合わそうとせずにしている。


「お前、好奇心で買っただろ?でも自分はいらないから俺に押し付けてるだろ?」


「そ、そんなことないよ」


 嘘つくの下手かよ。


「お前、自分が飲まないの人に押し付けんなよ」


「だって、珍しくてついつい買っちゃったけど、よくよく考えたら全然いらないなぁって」


 まんま予想通りじゃん。


「お前は前々からアホだとは思ってたけどここまでとは」


 さすがにここまでとは思わなかった。


「佐々木のと交換してくれよ」


「もう私半分ぐらい飲んじゃったから」


 ここに来る途中でフライングで飲んでやがった。


「じゃあ森」


 森は急いでペットボトルのキャップを開けて水を飲み始めた。


「わりぃ、俺も半分くらい飲んじまった」


 こいつ。


「じゃあ寺田」


 寺田も急いでペットボトルのキャップを開けて飲み始めた。


「ごめん。私も飲んじゃった」


 ええ〜?


 みそ汁飲むの俺?

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る