第47話
「よし、行くぞ」
「うん」
今、俺と佐々木は先生の目を盗んで旅館から抜け出している。
やっぱり福岡県に来たからには屋台に行かなくてはならないと思う。
博多のとんこつラーメンが食べたい。
なんか福岡の人は、ラーメン=とんこつラーメンらしく、とんこつラーメンという言葉はおかしく感じるらしい。
俺で言う佐々木はアホ、と言う言葉はおかしく感じる。
だって佐々木なんて存在がアホなんだから、何同じこと二回言ってんの?となる。
「大丈夫かな?バレないかな?」
「大丈夫だ、安心しろ」
安心しろとは言ったけど、特に策があるわけではないが、なんとなく大丈夫だと思っている。
だから、バレる時はバレるのだ。
「浅野が言うなら大丈夫ね」
まぁ、このことは佐々木には黙っておこう。
「どこの屋台に行くの?」
「まぁよくわからんからあそこで良いんじゃないか?」
未成年なのがバレると面倒なのでなるべく誰もいない屋台へと入っていく。
「すみません。ラーメン二つください」
「あいよ」
店主の人がタオルを頭に巻いていて、theラーメン屋の店主っていう感じがする。
「あの〜隣大丈夫ですか?」
「あ、はい、大丈夫ですよ」
いきなり隣にやってきたのは俺たちと多分同い年の男女がやってきた。
「もしかしてそっちも修学旅行?」
男女の女の方が話しかけてきた。
「そっちもってことはもしかして同い年?」
「私たちは高二」
「あ、じゃあ一緒だ」
「そっちも抜け出してきたの?」
「うん」
「やっぱり福岡に来たからには屋台は絶対だよねぇ」
なんか女子で盛り上がってる。
あいつコミュ障なくせに結構しゃべりやがるな。
初対面でこれ以上会わない奴とはしゃべれるタイプなやつだこいつ。
男の方はなんかずっと無言で下向いてるし。
「おまたせ」
ここでラーメンが来たので会話は中断してラーメンを食べることに集中した。
ふぅ〜、おいしかったぁ。
これを食べれただけでも福岡に来た意味があるもんだ。
「ねぇ、私たちは替え玉しとくから男子たちはどっか行っておいて」
は?替え玉するの?男の奴と二人きりになるの?
「いや、俺らも待っとくから」
「ガールズトークするから男子はどっか行って」
そう言って男二人は屋台から離れた。
* * * *
浅野ともう一人の男の人はどこかへ行った。
ガールズトークかぁ、穂花ちゃんとしかやったことなかったから新鮮だなぁ。
男子と二人で来てるってことはそう言うことだよね?気になるから聞いてみよ。
「ねぇ、一緒に来てた男の人とは付き合ってるの?」
「ないないないない。あいつは頼りにはなるし、カッコいいところもあるし、好きになりそうなことも何度もあったけど、それはないかな」
それって絶対に好きじゃん。
「そう言うそっちこそ一緒に来てた男の人と付き合ってるの?」
「付き合ってはない。でも好き」
もう絶対に二度と出会うことはないから別に言っても良いだろう。
「じゃあ早く気持ち伝えてないと」
「いや、まだ良いかなぁって」
「早くしないと取られるよ」
「多分大丈夫だと思うけど」
だって浅野だもん。
浅野がモテてる印象は無いなぁ。
「だってあなたみたいなめちゃくちゃかわいい子が好きになってるんだよ、絶対にモテるよ」
た、確かに。
何でこんな簡単なことに気づかなかったんだ。
なんか急に焦りが出てきたんだけど。
「そっちこそ大丈夫なの?」
「あいつ意外とモテるからなぁ」
モテるんだ、あの人。意外。
「あいつ本当に頼りになるからみんなあいつのこと好きなの」
「じゃあお互い頑張ろうね」
「うん」
* * * *
「話し終わったか?」
浅野ともう一人の男の人が帰ってきた。
「うん」
「じゃあ、ここでお別れってことで」
浅野の二人きりで帰り道を歩く。
「マジで二人きりにしやがって、絶対に許さん。お互いがコミュ障だったから大変だったからな」
浅野は私に顔を近づける。
「はぁ〜」
「くさっ」
口のにんにくの臭いを嗅がせてきた。
浅野は私が嫌がってる姿を見てめちゃくちゃ笑っている。
「もう」
「ごめんごめん」
顔を近づけてきた時ドキってしたんだから。
「寒くないか?」
そう言って浅野は私に上着を羽織せてきてくれた。
本当そういうところだよ。
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