第42話
修学旅行に行くことになり、今は福岡に向かうため新幹線に乗っている。
神様のイタズラか何か知らないけど何故か佐々木と隣になったのだ。
本当はしゃべったことないやつの隣の席に座ってずっと寝るか、窓の外から見える景色をずっと眺めていたかったけどなぁ。
アイツ俺に何も聞かずに窓側の席を座りやがったからマジで覚えておけよ。
まぁそんなこともあったけどいつまでも気にしても仕方ないから俺がずっと楽しみにしていた駅弁を食べることにした。
ちなみに俺が食べる駅弁の紹介をしよう。
俺が食べる駅弁は海鮮系の弁当だ。
サーモンにいくら、ウニ、だし巻き卵、カニ、そしてみんな大好きうなぎが詰め合わせられている夢のような駅弁だ。
最初にサーモンでエンジンをかけつつ、それでもいくらとウニを上品に食し、だし巻き卵で口をなおし、カニでもう一度自分が海鮮の駅弁を食べていることを再認識して、最後にうなぎで米を食べ尽くす。
これを考えてる時が楽しすぎて本当に昼になるのが待ち遠しかった。
さっそく食べていこうと思う。
「ねぇ浅野」
隣に座っている佐々木が俺の名前を呼んだ。
「なんだ?」
「その駅弁とても美味しそうだなぁって思って」
「お前も自分のハンバーグ弁当があるじゃん」
「いや、浅野のがとても美味しそうだから一口欲しいなぁって」
「だから買うときに言ったじゃん、俺の駅弁絶対にあげないって。お前もハンバーグの横に付いてるサラダもあげないって言ってたやん」
「それでもさぁ」
「もう食べる順番も決まってるから」
「ねぇお願いちょっとだけでいいから、一口だけでいいから」
「え〜」
「浅野がこの前言ってたコンビニで売ってるカップ麺が無かったなぁ。嘘つかれて悲しいなぁ」
話を変えてきたなこいつ。
「それ本当か?ちゃんと探したか?」
「ちゃんとコンビニ中くまなく探したから」
「え?街中のコンビニじゃなくてコンビニ中探したのか?」
「うん」
「お前なぁ、普通は一軒のコンビニを探し続けるんじゃなくて、色んなコンビニで探し続けるんだよ、普通はな」
「あ〜そうなんだぁ。だからタバコのところにも無かったし、肉まんの横にも無かったし、おでんの中にも無かったんだぁ」
「お前、どうせ色んなコンビニに行くの嫌だから意地でもそのコンビニで探そうと思っただろ?」
「っぅ」
「それなのに店員さんにも話しかけられ無かっただろ?」
「う〜〜〜〜」
「本当そういうところだぞお前」
「そこまで言わなくてもいいじゃん」
佐々木も反省しているのでここら辺にしておいてやるか。
「はぁ〜分かったよ、一口やるから」
「じゃあうなぎ欲しい」
「テメェ」
少しは遠慮しろ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます