第40話

 とりあえず屋上まで逃げてきた。


 大丈夫だよな?


 俺仮面着けてたし、俺ってバレてないよな?


 もう本当にキツい、あの時の俺はどうかしていたに違いない。


 そうじゃなきゃこの世で最も美しいものを、とか言わないもん。


 パチンコみたいに確定演出出てたもん。黒歴史確定演出が。


 スロットを回して、ドゥルドゥルドゥルドゥルドゥルドゥルドゥルドゥル、バン!


 


 白いスーツを着てマジック。




 まぁこれはまだちょっとイタいけどまだマシだった。



 二個目



 ドゥルドゥルドゥルドゥルドゥルドゥルドゥルドゥルドゥルドゥルドゥルドゥル、バン!


 

 

 

 レディース&ジェントルメン。





 これもイタい。普通の様に聞こえてこれはイキってるんですよね。


 しかも&をアンドって呼ばずにエーンドって言ったからさらにイタさが増している。




 では最後。



 ドゥルドゥルドゥルドゥルドゥルドゥルドゥルドゥルドゥルドゥル



 頼む



 ドゥルドゥルドゥルドゥルドゥルドゥルドゥルドゥルドゥルドゥル



 神よ


 ドゥルドゥルドゥルドゥルドゥルドゥルドゥルドゥルドゥルドゥルドゥル、バン!!



 


 この世で最も美しいものを消してみせたいと思います。

 

 

 


 はい、終わり。

 


 この世で最もイタい奴を消して欲しいわ。


 イタいにプラスしてダサかったし。


 いや、体育館のみんなが思った以上に盛り上がったせいで俺も、あれ?俺カッコよくね?ってなっちゃったんだよなぁ。


「浅野」


 俺が恥ずかしすぎて悶えている時に佐々木が俺の名前を呼んだ。


「なんだよ」


「なんでマジックなんか出来るの?」


 まぁそうだろな、ただの高校生がマジックなんか出来たら驚くよな。


 俺が今最も嫌いな人物の父さんがマジシャンだったから小さいころよく見てたし、マネもしてたらいつの間にか出来てたんだよなぁ。


「知り合いにマジックが出来る奴がいたんだよ」


「そうなんだぁ」


「そうだよ」


「神崎くんと森くんも手伝ってくれたんだね」


「おかげで野球部の練習試合に出なくちゃいけない羽目になったからな」


「野球も出来るの!!」


「おお、結構すごかったんだからな」


「どこ守ってたの?」


「ピッチャーだ」


「ピッチャーって投げるやつだよね?」


「投げるやつってお前、さては野球知らないな?」


「ぐっ、でもショートってところは遊ぶところなんでしょ」


「いや、漢字だけだからな、別にあれは遊んでるわけじゃないからな」


「そうだったんだ」


「やっぱり知らなかったじゃないか」


「それでもピッチャーってすごいよ。多分」


「全員すごいんだよ」


「それでもすごいよ」


「まぁそれはありがとう」


「ありがとうはこっちのセリフ。今日は本当にありがとう」


「いや、別にいいよ。たまたまだし」


「うん」


「何かあれだな、なんか帰り食って帰るか?」


「お財布家に置いてきちゃったんだよねぇ」


「別にお前がお金出す前提で誘ってねぇわ。早く行くぞ」


「うん」

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