第37話

 時は数日前に遡る。


 あーしんどいしダルい、何であんなことしたんだろうなぁ。


 体育祭後のウォーターステージとか言う意味の分からないことをやって風邪をひいてしまった。


 本当にいつになったら熱が下がるんだよ。


 火曜日の朝、やっと体が楽になった。


 なんか久しぶりにお腹がすいた気がする。だけどいっぱいは食べれる気がしないから少ない量でカロリーがとれるヨーグルトを食べることにした。


 風邪ひいて飲むものは決まってスポーツドリンクなのだ。俺は500ミリリットルのペットボトルにストローをさして飲むのが俺のいつものやつである。


 とにかく眠たかった、風邪ひいてるときは眠すぎた。やることも特になかったからいいけど。


 そのかわり掃除をしてなかったから掃除をしたくて仕方ない。


 今日は大事をとって学校を休むとするか。

 

 とりあえずお風呂でも入ろっかな、風邪ひいてると臭くても何もかもやる気が起きなくてずっと寝っぱなしなんだよなぁ。


 なんか湿布っておでこより脇下や首に貼った方が良いって聞くけどやっぱりおでこに貼った方が効く気がするんだよ。


 まぁ今日はゆっくりしますか。


 俺がテニスしてたら興味を持った熊たちが俺のところにやってきて、胴上げされそうになったから格闘術で熊をやっつけたら実は熊じゃなくてサッカーボールになり損ねたバスケットボールだった。って言う意味のわからない夢を見てたら次の日になっていた。


 完全に治りました。


 イエーイって言いたいところだけど学校に行くの普通に嫌だなぁ。

 

 でも行かなきゃいけないんだよなぁ。


 ぼっちの嫌なところは友達がいないところなんだよ。


 何を当たり前のこと言ったんだコイツって思ってるかもしれないが、友達がいないと俺がいなかった時の学校の様子が分からないのだ。


 提出物があった場合は俺には伝わらないし、ノート写させてとは言えないし、重要な情報が俺の耳に入ってこないのだ。


 そんなことを言っていても仕方ない、頑張って学校に行くとしますか。


 教室に入っても「おー、元気になったか?」とか「みんな心配してたんだから」とか「お前がいないと学校が楽しくなかったぞ」とか言われるはずもなく普通に自分の席に座った。


 授業が始まっても前回にやったことなんか知るわけもなく知ったふりしながら授業を聞いた。


 お昼ごはんの時間がやってきたのでお弁当箱を広げて自分の作った卵焼きに採点をつけながら黙々とお弁当を食べた。


「浅野」


 何か廊下の方から俺の名前を呼ぶ声が聞こえてきた。


 誰が俺を呼ぶ人がいるんだ?と思ったけど担任の先生だった。

 

 先生なのを確認して先生のところへ向かっていった。


「何ですか?」


「まぁとりあえず職員室まで来てくれ」


「分かりました」


 特に問題を起こした記憶がないため何かの連絡事項なのだろうと思う。


「来週の土曜日に文化祭があるのは知ってるか?」


「そういえばそうでしたねぇ」


「出し物はもう喫茶店で決まったんだ」


 喫茶店かぁ、別に俺は何でも良いけど。


「そうなんですか」


「お前の担当は確か受付だったと思う」


「受付って何やるんですか?」


「知らん、変な人が入ってこないか見てるだけじゃないか?」


 は?


「お会計とかは?」


「それは別でいるから」


 マジかよ。


 つまり何もやらなくて良いってことですね。


「それだけだから、もう教室帰っていいよ」


「分かりました」


 教室に帰ろうとして先生に背を向けた。


「あ、あとな、ミスコンに佐々木が出るからな」


 え?


「ミスコンに佐々木が出るんですか?」


「うん」


「本当にですか?」


「ああ」


「ちょっと待ってください、佐々木を出すのをやめてください」


 アイツは無理だ、アイツめちゃくちゃ緊張しいだからアイツにはできない。


「もう決まったから」


「そこをなんとか」


「これを変えたら俺が怒られるから」


「それでも」


「しつこいぞ、無理なものは無理。もう教室に帰れ」


 おいおい、マジかよ。


 でも自分からやるって言ってるかもしれない。


 それは無いか。


 どうするんだよ佐々木。

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