第33話
私が風邪をひいている間に勝手にミスコンに参加させられていた。
私がミスコンに出たくない理由は緊張してみんなの前に出たら確実に良くないことが起きてしまうからだ。
だって授業の時に先生にあてられただけで声が震えて体が熱くなって汗をかいてしまうほどなのだから。
正直なことを言うと浅野には頼りたくはない。
いじめの時も、穂花ちゃんの時も、体育祭の時も結局浅野が手を差し伸べてくれたから私は助かってきたのだ。
ほんの少し、一ミリもないけど、ほんの少しだけ浅野が好きなのだからもう好きな人には頼らずに解決してみたい。これが乙女の気持ちなのだ。
たった来週しかない、もう時間なんて残されていない。
ここは前回の反省を活かして最初から穂花ちゃんに頼ることにする。
でも自分でできることは自分でやらないといけない。
緊張しいを治すのはもう緊張に慣れることしか思いつかない。
つまり人前に出て今のうちに緊張しておいてミスコンで緊張してもせめての最低限はできるようにすれば良いのだ。
次の日さっそく穂花ちゃんに文化祭の時にミスコンに出ることになったことを話した。
「つまり緊張に慣れたいってことであってる?」
「うん、あってる」
「浅野には言ったの?」
「言ってない」
「どうして?」
「えー、浅野にはいつも助けてもらいっぱなしだし、今回は浅野の手を借りずになんとかしてみたいと思う。それに」
「それに?」
「ほんの少し、ほんのちょっとだけ好きな人に頼りっぱなしってのも情けないしね」
「じゃあ私達だけで頑張ろっか」
「うん」
本当恥ずかしい。でも本当に少しだけ好きなのだ。浅野と会っても意識してしまう。それがなんか悔しい。
浅野に知られたらバカにされるのかな?どんな反応するのかわからない。恋愛に興味なさそうだし。
今はそんなの関係ない。今は緊張しい治そう大作戦なのだ。
一人だけだったら厳しかったけど二人だったらなんでもできる気がしてきた。
「で、今のところ何か案はあるの?」
「ごめん、一個もないんだ」
昨日一日中考えても案が出てこなかった。自分の力でと言っときながら情けない。
「じゃあ、バイトしてみれば?」
「バイト?」
「うん、接客業のバイトって人前で喋るし」
「それだ!でも、どこで働けばいいかな?」
「私と一緒のところで働かない?ファミレスで接客業あるし。私店長と仲良いから話つけられるから」
「いいの?ありがとう。じゃあお願いできるかな?」
「任しておいて」
私の友達は本当に心強い。
ここまでしてもらったんだからがんばらないと。
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