第21話

 私、寺田穂花は目を覚ます。カーテンの隙間から入ってくる日光が朝だと教えてくるれる。


 体を起こし、腕を上に上げて体を伸ばした。


 まだ眠たいが洗面所まで行き、冷たい水で顔を洗い無理やり目を覚ました。


 本当は夏休みにこんな早く起きるなんてありえないが今日は水族館に行くのだ。


 二日前に香奈ちゃんからメールがきた。森くんと浅野も来るらしい。


 香奈ちゃんとは最初ギクシャクしていた。高校二年の五月なんかに転校してきて前までは私が男子の中で一番人気だったのに香奈ちゃんが来て男子たちはみんな香奈ちゃんの方にいった。


 悔しかった。別に男子の人気なんていらなかったけど森くんが香奈ちゃんのことを気になっているのが気に食わなかった。

 

 だから男子が停学になって味方がいなくなったところで香奈ちゃんを攻撃し始めた。


 思った通りに香奈ちゃんは弱っていった。


 だがしかし、なぜか私に味方がいなくなっていった。味方だけでなく友達もいなくなった。


 一人になってしまった私に話しかけたのは香奈ちゃんと浅野だ。


 なぜ香奈ちゃんが私と仲良くなろうとしたのか、なぜ浅野をいじめていた香奈ちゃんが浅野と仲がいいのか分からない。


 香奈ちゃんと浅野の関係ってなに?付き合ってるのかな?仲がいいのはわかるけど。


 それはいつか聞くとして今日は森くんが来る。昨日からなに着ていくか決めておいたからそれに着替える。かわいいって言ってくれるかな?


 朝ご飯を軽く済ませて、メイクをしっかりして、家を出た。


 駅までは自転車で行き、自転車を自転車置き場に置いて切符を買い、改札機に切符を通して乗らないといけない電車に乗った。


 電車に揺られながら今日の水族館をどう回るかをイメージしながらつり革を掴んでいた。


 目的地の駅に着き、改札機に切符を通した。もうこの切符は改札機から出てこないのについつい体が反応して切符を待ってしまった。誰も見てないから良かったと思った。


 駅を出て、待ち合わせ時間までには時間に余裕があったので待ち合わせ場所の水族館までゆっくり歩いた。


 待ち合わせの場所の近くに行くと見たことのある二人組がいた。


「はーい、今日はみんな大好きの水族館に来ていまーす」


「イエーイ」


 香奈ちゃんと浅野が隣同士に立ち、浅野が言うと香奈ちゃんが拍手で盛り上げている。


「ちなみに佐々木さんはお魚好きですか?」


「大好きですよ、焼き魚も刺身も大好きです」


「違いますよ、食べる方じゃなくて観る方ですよ」


「あ、間違いました、ごめんなさい」


「もう本当に佐々木さんは天然なんだから、今日はよろしくお願いしますよ」


「はい、任してください。水族館の魅力をいっぱい伝えたいと思います」


 香奈ちゃんがガッツポーズをして言い終わると浅野が


「はーい、OK」


 手を叩いてカットが入った。


「良いな佐々木、お前天然アイドルのマネするの上手だわ」

 

「でしょー」


「オープニングバッチリ撮れたし次は魚のリポートだな」


「任しといて」


 え、なにしてんの?

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