第20話
「嘘だろ佐々木」
「なに?私が四本倒したの信じられないの?残念ながら私の実力で倒したのよ」
ドヤ顔で俺に言ってきた。
「ちげぇよ、その投げ方だよ」
「投げ方って普通じゃないの?」
「全然普通じゃない、俺らの見てたか?誰もそんな投げ方してないだろ」
「みんなに合わせちゃダメよ、自分らしくオンリーワンであらなくちゃ」
うぜぇ、やっとしゃべれるようになったけど、しゃべる内容がうざかったらマイナスだぞ。
「いいんじゃない別に投げ方なんて人それぞれで、ね?」
佐々木は寺田の言葉にコクッとうなずいた。
寺田とはまだしゃべれないんかい。俺にはあんなにしゃべれるのに、場には緊張しなくなったけど寺田にはまだ緊張するようだ。
まぁそんなこともあり第一ゲームが終わった。
スコアはこんな感じになった
浅野 信 201
寺田 穂花 119
佐々木 香菜 62
俺は意外な才能が発揮されかなりの高得点を叩き出した。
寺田は中学校にバスケをやっていたことと昔いた友達とボウリングしていたこともありかなり上手かった。
佐々木はあの投げ方で女子の平均以下くらいの結果を出した。にしてもあの投げ方だったら他のスポーツが気になるな。
「じゃあニゲーム目は対戦形式でいこう、俺一人と佐々木と寺田がペアで」
俺は今日はボウリングを楽しみに来たわけではない、佐々木と寺田を仲良くするために今日嫌々来たのだ。だから二人が協力するのが目的だ。
「別にいいけど」
「うん」
二人はそこまで乗り気ではなかった。でもやっていくうちになんとかなるだろ。
だと思っていた俺が甘かったようだ。
寺田がマジ過ぎるのだ。マジなのは全然良い、佐々木にアドバイスしてあげるとか、俺の結果に一喜一憂するとかすれば自然と仲良くなるのだが、佐々木との会話なんてないし、寺田がストライクとった時に佐々木はハイタッチをして欲しかったのだろうけど寺田は一人で反省会をしている。そんな落ち込むなって。
「よし」
俺は最後の一投をしてスコアは 203
「まあまあ」
寺田のスコアは 135
最後の佐々木は最後の十レーンは奇跡的にスペアをとり 64となり、最後の一投で四本倒せば同点、五本倒せば佐々木 寺田ペアが勝つ。
「お前の一投で勝敗が決まるぞ」
こんなこと言ったけば佐々木は緊張して勝ってに自爆するはずだ。そうなんです、俺もマジなってしまいました。
「あんまりプレッシャーかけないであげて」
マジでガチな寺田は俺の卑劣な行為を許さない。
「がんばってくる」
ボールを持ってレーンに向かっていくだけで分かった、佐々木は緊張している。手足が震えているのが一目で分かった。
「ほら、アンタが変なこと言うから」
「でもちょっとだけ面白いな」
佐々木はふーっと深呼吸をして呼吸を整えてボールを持って振りかぶった。
そこで俺はあることに気づいた。佐々木は俺のボールを持って行ったのだ。佐々木のボールより俺のボールの方が重いので投げるのが難しいはずだ。本当は持った時点で気づくが佐々木は緊張して気づかなかったのだろう。
「ぷぎゃ」
ボールを投げた瞬間バランスを崩して佐々木は転んで変な声を出した。ボールはコロコロと転がりガーターになってしまった。
これで勝負の結果が決まる場面と佐々木の緊張している姿とそれでバラエティみたいなオチに俺は笑いがこみあげてきた。
「ぷはははは、すげーな佐々木、天才だよお前」
もう可笑しくて腹抱えて笑った。
すると佐々木はこっちに来てボールを持って俺に近づいてきた。
「殺す」
「ばかばか、そのボールで俺をどうする気なんだよ。ボールが真っ赤に染まっちゃうだろ、鉄分豊富のボールになっちゃうだろ」
涙目で顔真っ赤にして俺を怒ってきた。
「あはははは、香奈ちゃんって面白いんだね」
寺田が今日一番笑っていた。本当はこんな予定ではなかったけど、まぁいいか。
「今日面白かったよ、また誘ってね」
「ああ」
寺田は今日を楽しんでくれたようだ。笑顔で帰っていった。
「良かったな、寺田楽しんでくれたみたいだぞ」
「………」
「またってことは次もあることだぞ」
「………」
佐々木はまださっきのことを根に持っているようでまだ拗ねている。
「いい加減機嫌直せって」
「………」
「お前が朝言ってたラーメン屋行くか?」
佐々木はコクッと頷いた。
「じゃあ行くか」
良かった、これで少しは機嫌を直してくれたらいいが。
「替え玉とライスと餃子もつけて」
「って俺が払うんかい」
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