第14話

 放課後


 今日は全然ダメだった。あいさつを無視され、英語の時間は恥をかき、調理実習ではクッキーを食べてくれたがおいしくないと言われた。


 ということで、今からファミレスで反省会だ。ここで勘違いしてほしくないのは俺は佐々木に友達ができたら、もうしゃべることもないだろうし、この関係が終わるから一生懸命がんばっているのである。

 

 で、今はファミレスで対面にして座っている。


「今日はアンタがおごりなさいよ」


「は?なんで俺がおごるんだよ」


 反省会の前にどっちがここのお金を出すかの話し合いをしている。


「今日はアンタの作戦がダメだったからに決まってるじゃない」


「作戦どうこうの問題じゃなくて、シンプルにお前が嫌われてるからだろ」


 無視されるは作戦どうこうの問題じゃないだろ。


「私は嫌われてないわよ、それよりアンタのクッキーがおいしくなかったからじゃない」


「いやいや、お前のクッキーよりマシだから。ていうか、あのクッキーなに?クッキーと思って作ったのか?」


 別に気絶するほど不味いわけではない。小学生が一生懸命作りました、味はおいしくないけど作ってくれたことがうれしいよ、って感じ。でも、佐々木は小学生ではないのでかわいくないし、不味い。


「そもそも、自分の分は自分で出せよ」


「私今月ピンチなのよ」


「やっぱり女の子だから服とか化粧品とか買うのか?」


 女の子は服とか化粧品とか買って、いつどこから見られても良いようにしてるってテレビで見て、女の子って大変だなぁって思ってた。まぁ作戦に関しては俺が悪いところもあるし今日は俺が出してやるとするか。


「ゲームに課金しちゃった」


 気が変わった。

 

「絶対自分の分出せよ」


「でも、良いキャラ出たのよ」


「だから何だよ」


 コイツゲームに課金して金欠とかもうゲームやめちまえ。


「でも意外だな、佐々木がゲームって」


「そう?ゲームは昔から好きよ」


「もっと友達と休日に外で遊んでるイメージがあったわ」


「私、女子の友達と遊びに誘われたことないの」


 うわー、悲しい。


 佐々木は昔からだったんだ、女子に嫌われてるの。女子が佐々木と一緒にいたのは男子が佐々木のとこに寄ってくるからか。


「まぁ、寺田と友達になったら遊びに行けるから」


「そうね、頑張るわ」


「今日は俺出すから、寺田と遊ぶ時のこと考えて金貯めとけよ」


「ありがとう」


 さっさと佐々木が友達と遊んで俺との関係を終わらせよう。


「ちなみにどんなゲームが好きなんだ?」


「ええっとねぇ」


 ここから佐々木のゲーム話に花が咲き作戦会議をするのを忘れた。

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