第13話
休み時間
「お前よくも騙してくれたなぁ」
「なんのことかしら?」
「お前があれで良いって言うから言ったのに、思いっきり引かれたじゃねぇか」
こんな屈辱初めてだ。寺田だけじゃなくてクラスのみんなにも見られた。
「まぁ初めて会話ができてプラマイゼロね」
「お前後で絶対覚えとけよ」
来世まで恨んでやる。やっぱり来世までコイツのこと覚えておきたくない。
「次、移動教室だから一緒に行こうって誘ってこいよ」
「任せなさい」
なんか自信満々だな、俺が恥かいたからもう恥ずかしさがなくなったのか?
佐々木は移動教室に向かおうとしている寺田の元へ行き、話しかけた。
「寺田さん、次の移動教室一緒に行きましょう」
「………」
また当然のように無視された。
俺は心の中でガッツポーズをした。俺はあんなに恥をかいたんだから無視されたのが本当にうれしかった。
「アンタなんか笑ってない?」
無視された佐々木は俺の元へ戻って来た。
「全然」
「本当?」
「ああ」
嘘である、心の底から笑ってやった。どんだけ嫌われてるんだよ。
「じゃあいいけど」
家庭の時間
「今日はクッキーを作ってもらいます。班のみんなで協力してください」
今日は調理実習でクッキーを作る。班は教室で座っている席で分けられている。だから佐々木と同じ班である。
「浅野って料理できるの?」
「一応な」
俺は料理には自信がある。料理はレシピ通り調理すれば何も間違えない、アレンジを加えようとするから不味くなる。
次の作戦としてはおいしいクッキーをあげて好感度あげる作戦だ。
「佐々木〜できたかぁ?」
「できたわよ、自信作よ!」
自信満々でクッキーを見せてきた。見た目は中々美味しそうだ。
「じゃあ一個もらうぞ」
と言って俺は佐々木のクッキーを食べた。
「どうだった?」
「ああ、不味いぞ」
「そう、え?不味いの?」
「不味いぞ」
嘘偽りなく感想を言った。びっくりした、全然甘くないし、まだ焼けてないし、すっごい不味い。
「どうしよ?寺田さんに渡すクッキーがない」
「ああもう、俺の渡してこい」
「いいの?」
「いいから早く渡してこい」
佐々木は俺のクッキーを持って寺田の元へ行った。
「寺田さん、良かったら食べる?」
寺田はクッキーをじーっと見て一つ手に取ってクッキーを食べた。
「どう?」
「風味が悪いし、食感も悪い、味が濃いだけね」
やっとしゃべったと思ったらめっちゃダメ出ししやがった。結構毒舌だし。俺かなり自信あったのになぁ。
佐々木はとぼとぼ俺の元へ戻って来た。
「ダメだったね」
「ああ」
佐々木は会話できなかったショック、俺はクッキーをダメ出しされたショックで二人とも落ち込んでいた。
「アンタのクッキー辛口評価だったね」
「クッキーは甘いのにな」
「は?おもんな」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます