第12話
次の日の朝
「まずは、あいさつからだな」
昨日、寺田を友達にする手伝いをすることになった。今日から積極的に話しかけるらしい。なんと言っても1日の始まりのあいさつが肝心だ。
「がんばってくるね」
寺田の席に向かっていく佐々木を廊下で眺めていた。
「おはよう、寺田さん」
寺田の席に向かっていった佐々木は寺田にあいさつをした。
「………」
案の定無視されてしまった。だが、そんなことは想定内。こっからが昨日俺が決めた会話だ。
「知ってる?マシュマロって喉が痛みをやわらげてくれるらしいのよ」
これは豆知識作戦だ。これで話された相手は「えーなんでなんで?」と言って会話ができる。
ちなみにマシュマロにはゼラチンが含まれておりそのゼラチンが喉の痛みに有効なのだ。
「………」
あれ?なんで寺田は反応しないんだ?絶対に聞こえてたはずなのに。
無視されてショックを受けている佐々木を俺のもとへ戻ってきた。
「ダメだったじゃない」
「あれ?おかしいな、予想と違ったなぁ。でもまだチャンスはあるから」
英語の時間
「はーい、じゃあペア作って教科書読み合って」
ここに来てチャンス到来だ。
本当は教科書を読み合うのだが基本はみんな関係ないことをしゃべっている。
「行ってくるね」
「おう」
佐々木は一人でいる寺田の元へ行き話しかけた。
「私とペア組みましょう」
「………」
予想通り無視された、しかしまだ諦めない。
「知ってる?外国人にしらんぷりって言ったら座るらしいのよ」
豆知識作戦パート2だ。今回は英語の授業だから英語に関する豆知識だ。これで食いつかなかったらどうかと思う。
ちなみに日本語を知らない外国人はしらんぷりを「Sit down please」「座ってください」に聞こえるらしい。
「………」
あれ?また無反応だ。
無視された佐々木はしょんぼりしながら戻ってきて机に突っ伏している。
「またダメだったじゃない」
「そんなはずないんだが」
もしかして寺田は知ってたのか?
「次アンタ行ってきなさいよ」
「はぁ?なんで俺がいくんだよ」
無視されたショックで頭がおかしくなったのか?
しかし、これで俺が佐々木と寺田の仲良くなるきっかけが作れれば俺と佐々木はもう関わらなくてすむ。
「もう私はいける元気がない」
「は〜分かったよ、でも何話せばいい?」
そう、俺は女の子とまともに会話なんかしたことはない。
「とりあえず女の子は褒めとけばなんとかなるものよ、そうねぇ例えば…」
女の子に話しかける、この行為にこんな緊張するのか、モテない男はつらい。
俺は寺田の席まで行き、話しかけた。
「ハーイ、寺田、今日も綺麗だね、君の美しさにクラスの女の子は嫉妬しているよ」
「………キモ」
俺はショックで机から頭があがらなかった。
「よかったじゃない初めて会話ができたわよ」
「うっさい、死ね」
本当にこんなんで友達ができるのか?
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