第11話

「いやいやいやいやいやいやいや絶対にいや」


「わがまま言うなって」


 佐々木をいじめから救う作戦にはまだ続きがあり、佐々木と寺田を友達にすることだ。あの元元リーダーと元リーダーを友達にすればいじめなど恐くて手を出せないし、佐々木も寺田も今はクラスでは孤立しているからちょうどいいと思ったけど。


 佐々木が駄々をこねる。


「むりむりむりむりむりむりむり絶対にむり」


「何がそんなに嫌なんだ?」


 今二人とも孤立してるし気の強い同士気が合うと思うけどなぁ。


「アイツ私をいじめてたのよ」


 俺をいじめてたやつがよく言う。


「それにアイツ絶対性格悪いわよ」


「へー一緒じゃん」


「なに?」


 やべっ、口に出てた。


「なんもないっす」


 こえー


「とりあえず私は絶対に寺田なんかと友達にはならないから」


「じゃあ今後一人でいるのか」


 そうやって俺が問いかけると佐々木は下を向いて黙り込んだ。


「ほらな、友達が欲しいんだろ」


 これで佐々木に友達ができたら俺はもう佐々木とは永遠におさらばだ。


「別に寺田じゃなくてもいいじゃない」


 その通りだ、だが


「お前のこと友達にしたい奴なんているのか」


 時に正論は暴力よりも痛い


「そこまで言うんだったら」


 よし!


「そのかわりちゃんと手伝ってよね」


 え、ちょっと待て


「あそこまで言っておいて手伝わないはなしよ」


「いやいや、自分でやらないと意味がないんじゃないですか?」


「浅野はサポートするだけよ」


 ふざけんなこのアマ自分が何やってきたのか忘れたのか。図々しいにも程がある。


「ねぇねぇ友達ってどうやって作るの?」


 友達いない俺に聞くとはさてはコイツあほだな。


「まずはいじめはもう気にしてないことを伝えないといけないな。そのためには自分から話しかければいいんじゃないか?」


 それっぽいことを伝えたがこれが合ってるのかなんて知らない。


「いやよ、なんで私から話しかけなきゃいけないのよ」


 出たよ、わがままガールそんなんだから嫌われるんだよなぁ。


「じゃあいいのかよこのままで」


 俺もイライラして少し強めの口調になってしまった。


「いいわけないじゃない、でもこんなの初めてなのよ自分から友達を作るのは」


 少しへこんだのか声が小さかった。


 コイツはいつも周りに人がいたからな、友達を作るってのは初めてで、初めては不安だし、何をしたらいいのか分からない。初めてはみんな難しいものだ。


 にしても、そんな顔すんなよ、そんな顔されたらほっとけねぇじゃん。


「分かったよ、手伝うよ」


「本当!ありがとう」


 急に笑顔になりやがって、調子のいいやつだな。


「だが、行動するのはお前だからな、しっかり仲良くなれよ」


「当たり前よ」


 またコイツとの奇妙な関係が始まった。

 

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