第6話

 私、佐々木香奈は自分を中心に世界が回っていると思っていた。


 自覚したのは3歳の時だった。


 幼稚園で男女で手をつないで踊る時には私の取り合いだった。お弁当を食べる時には私の隣を座るのにじゃんけん大会が開かれたこともあった。


 そこで私は思った。


 私はかわいい、っと。


 そこから私は男子を私の思い通りに動く下僕だと思うようになった。


 小学校のある時、お父さんとお母さんの会話をしているのを盗み聞きした。


「浅野さんのとこの旦那さん浮気したらしいのよ、しかも相手は既婚者らしいの」


 浅野って結構地味目などこにでもいそうな男だったような気がする。

 

 他の親たちは浮気なんかしないのに浅野のお父さんは浮気をした、みんなと違うとそれは悪である。これは明日みんなに広めなくちゃ。

 

「浅野くんのお父さん、ちがうお母さんと浮気したんでしょー」


 そこから浅野へのいじめが始まった。


 最初はいじる程度だった、だけどいじるだけじゃ収まらなかった。

 

 上履きを隠した。浅野がずっと校内を探し回っているのが面白かった。


 教科書を隠した。授業が始まる前に先生に「教科書無くしました」って言って浅野が怒られるのが面白かった。


 下校中みんなのランドセルを持たせた。私たちは楽なのに浅野は必死なのが面白かった。


 机に落書きをした。机に何か書くのは中々楽しかった。


 ある日、浅野が机の落書きを泣きながら消していた。笑いを堪えるので必死だった。みんなも笑ってたし。みんな笑顔だった。


 途中からお父さんの仕事の事情で引っ越すことになった。


 高校二年の五月


 私は浅野に再会した。


 地味で暗かったから私は一目で分かった。何も変わってない。変わったことと言えば高校でいじめられていないことだ。


 小学校は小学校、いじめはしないけどコキ使ってあげよう。


 やっぱり私は人気者だった。男子なんか歓声をあげてたし、自己紹介が終わったら私の席にはみんな集まった。


 私を嫌う奴なんて一人もいない。


 だが、学校案内で浅野と二人っきりになり浅野のお母さんをバカにしたら浅野は私の胸ぐらを掴んで壁に叩きつけられた。


 生きてきてこんなことされたのは初めてだ。こんなの許すわけないじゃん。地獄に堕ちてもらおう。


 その日の夜に男子に電話で嘘泣きしながらあった出来事を伝えた。


 次の日から浅野はいじめられるようになった。


 あんな屈辱は初めてだった。だけど浅野がいじめられてるのを見てるとスッキリする。


 一か月以上が経った。浅野の精神的にもきていた、体はボロボロだし、顔は痩せ細っていた。でも絶対許してあーげない。


 しかしある日、森くんたちのいじめがバレた。浅野が動画を撮って、それを証拠に停学処分になったらしい。まぁ私は先生にバレてないし別に困らない。本当に森くんたちは災難だね。

 

 いつも通り学校に着いて教室に入るとみんながこっちを見ていた。ん?私なんかしたかなぁ?


 そして私の席に近づいて行って分かった。


 私の机に落書きされているのを

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