第4話 久々の気持ち
「そうだなぁ、宮前は…」
担任が机の上のプリントを広げながら呟いた
「学力は問題ないんだが、前半の出席日数が少ないのが痛いなぁ、最近はよく学校に来る方にはなったがなぁ」
マスターは隣で静かに頷いた
さ、最近はなんか来るのが楽しくなったって言うか、毎日の目標みたいなのが出来てさ!
「ほぅ、それはいい事だな。何を目標にしてるんだ?」
担任がプリントから目線を私に向けて聞いた
毎日、昨日よりも1つでも多く笑顔になれる事を見つけること!!
フフっ
やっぱり笑われた…と思い担任を見たが
担任は静かに微笑みながら頷いていた
すぐさま隣を見ると、小さく
「失礼」
とマスターが呟いた
「いい事じゃないか、確かに言われてみれば笑っているのをよく見るようになったな、まぁこのまま学力をキープしながら、出席日数が増えれば進路は選べるだろうな」
ね?優等生でしょ!??
担任の言葉にそう返しマスターを見た
「の、ようですね、何も心配はいらないみたいで安心しました」
えっへんと言わんばかりに私は腕を組む仕草をした
「何か質問などはありませんか?」
担任がマスターを見ながらそう聞いた
「そうですね、千尋は友達は多い方ですか?」
担任は少し考えてから
「そーですね、クラスの中で特に浮いてるという様子もありませんが?」
「そうですか、特にこの質問に意味はありません、何となく聞いただけですので」
なんでそんなこと聞いたんだろ?
私も担任もきっとそう思っただろう
その後はたわいもない話で懇談は終わった
教室を出て、2人で廊下を歩き階段を下る
マスターお疲れ様!
少し小さめの声で声をかけた
「千尋が優等生でおじぃちゃん安心したよ」
普段見せない笑顔でマスターはそう言った
なにそれ、めっちゃ違和感あるんだけど
笑いながらそう返した
「今日も昨日より、笑えましたか?」
マスターにそう言われ体がすごく軽くなった
い、嫌だなぁマスターに心配されなくても私は大丈夫だよ?あの時から成長したんだよ
視線を逸らしてそう返した
なんだろうこの気持ち
初めてで理解が追いつかないのに頭では整理がついててそれに体が慣れない
感じたことがある気持ちなはずなのに
ずっと遠くで閉じ込められてた感じ
「そうですか、それは失礼しました」
横に居る私ではなく前を向いてマスターは言った
ボーーっとしたまま廊下を歩いていると後ろから誰かに抱きつかれた
「逮捕だー!!」
ボーっとしていたのもあって驚いて後ろを見ると美優だった
「また会ったね!懇談終わり?」
いつもの眩しいくらいの笑顔で美優はそう言った
そそ、今日もおじぃちゃんに来てもらったんだ
「あ、こんにちはー」
美優は、マスターに気づき挨拶をした
「こんにちは」とマスターも美優に返す
「私も今終わったんだ!ねぇ千尋、この後さ、新しく出来たドーナツ屋さん行かない??」
私は美優の言葉を聞き、マスターを見る
「今日は大丈夫ですよ、休みですので」
そう言われ、少し関係がバレないかドキドキしたが、美優は「ん?」と頭を傾げていた
うん、いいね、行こ行こ!
「よぉーし、そうと決まったら行くぞー」
美優が私の手ひいて駆け出した
そんなに遅くならないからー
と振り向きながらマスターに言う
「心配はしていませんよ、楽しんできてくださいね」
マスターは手を振りながらそう言った
オリオンとシュガー 晴川 滝 @danderion39teppei
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。オリオンとシュガーの最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます