第3話 味噌チャーシュー大盛り
「てことで、来週から懇談だから親御さんに都合のいい時間をさっき配布したプリントに書いてもらうようになー。では以上。」
担任がそう言うと皆が席を立つ
懇談かぁ、どうしようかな
親…いないしなぁ
はぁー
プリントをカバンに入れながらため息をついた
帰るか…
自転車に乗り店に帰る
カランカラン
ただいまー
ドアを開けるとちょうどマスターがコーヒー豆を挽いてる所だった
「おかえりなさい」
マスターがこちらに気づき、言った
私はそのままカウンターに座り話しかけた
ただいま。ねぇ、マスター、今度さ、三者懇談あるんだけど来てくれないかな?
「もちろんですとも、学校なんて久々ですねぇ」
ニッコリ笑いながらそう言ってくれた
私の隣に座って適当に話合わせてくれたらいいからさ
「わかりました。千尋さんは優等生ですから何も問題はないでしょう?」
ま、まぁそうかな?私、優等生だもんね!!
関係は祖父でいいかな?
「えぇそうですね、行きつけの喫茶店のマスターでは具合が悪いでしょうし」
ありがと!明日先生に言っとくよ
あとさ、いつが都合いいかな
この期間とこの時間なんだけど
そう言いながらプリントをマスターに渡した
マスターは受け取ると、枠いっぱいに〇をした
いやいや、なにそれ
「この期間のこの時間ならいつでも大丈夫という〇ですが?。分かりやすくていいでしょう」
マスターはそう言った
いや、そうだけど
斬新すぎない?
「なにか聞かれたらそう答えて下さい」
返事を聞きながら、プリントをカバンに入れる
じゃあ私、着替えてくるね
「あ、今日は制服じゃなくていいですよ、少し付き合ってもらいたい所があるので」
付き合ってもらいたい所って?
「とりあえず外に出る準備をしてきて下さい」
2階に上がり着替える
どこだろ?私の家具とかならこの間買いに行ったしなぁ
色々考えながら着替え終わり、下に降りた
「では行きましょうか」
マスターはもう着替え終わっていた
30分程歩いたかな?
着いたのは服屋さんだった
ここ?
「そうです、懇談に行くと聞いたので私の服を選んでもらおうと思いまして、ジジくさい服しか持っていないので」
マスターごめん、なんか気使わしちゃったかな
「いいんですよ、私も少し楽しみでもありますし」
店内に入り、適当に見回る
試着を何度かして、マスターは何着か買った
いいの見つかって良かったね
店を出て、マスターに言った
「ありがとうございます、今の服は結構お手頃なものが多いんですね、久しく服なんか買っていなかったので」
んー、そうだね、ブランドとかじゃないから
「そうなのですね、そうだ、千尋さん今日はせっかくだし、ご飯食べて帰りましょうか?」
そうだね!食べて帰ろっか
何食べに行く?
「そうですね、ラーメンとかどうでしょうか?ここから近いところにいい所があるんですが」
ラーメンか、いいね!長いこと食べてなかったし行こ!
「では決まりですね」
来た道の途中で店とは違う方向に向かって歩く
「ここです」
とても古い中華料理屋とかなのかと思ったが、普通の最近のラーメン屋だった
テーブル席に案内され座る
マスター何にするの?
私はメニューを見ながら聞いた
「私は味噌チャーシュー大盛りですね」
そんなに濃いの食べるんだ、しかも大盛りって
「食べるというのは大事なことですし、久々に来たからには食べておきたくて」
そっかじゃあ私も同じにしようかな
マスターが店員を呼び注文する
たわいもない話をしているとラーメンが来た
器いっぱいに盛り付けられたチャーシューのインパクトが凄い
マスターは私に箸を渡してから「いただきます」と手を合してからラーメンを口にした
私も食べ始める
美味しい、味噌の優しい味とチャーシューがたまらない。マスターが好きなのもわかる
美味しいね
「そうでしょう、ここの味噌ラーメンは私の中でも1番です」
2人とも食べ終わり席を立つ
会計はマスターが払ってくれると言うので隣に立っていると声をかけられた
「千尋じゃん!!」
びっくりして振り返ると
中学からの友達で唯一の私の親友とも呼べる美優だった
おー美優じゃん!
美優も晩御飯?
「そそー弟が食べたいって言ったから来たんだ、千尋は誰と来たの?まさか親じゃないよね??」
美優は両親の事も知っているので眉間にシワを寄せながら聞いた
え?あぁええっとね
「こんばんは、千尋のお友達ですか?千尋がいつもお世話になっております。」
マスターが後ろから言った
「あ、どうも、こちらこそお世話になってます。」
美優がマスターを見ながら返事する
あぁあのね、今日はおじぃちゃんと来たんだ
「そうなんだ!びっくりした。あ、私たち呼ばれちゃった、もう行かなくちゃ、じゃあまた明日学校でね!」
うんばいばーい
ラーメン屋を出て、帰路に着く
「千尋さんにも仲のいいお友達がいたんですね」
帰り道にマスターに聞かれた
うん。美優は私のこと全部知ってるよ、親のことも
「それだけ信用できるお友達なんですね」
美優だけかな、励ましてくれたり、いつもそばにいてくれたのは。
「いいじゃないですか、それはとても大切なことですよ」
そうだね、大切にしないと
マスターも私のこと大切にしてね?
私がそう言うと珍しく驚いた顔をした
「大切にしますとも」
すぐに微笑んでそう返してくれた
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