第41話 整理

どうしてこうなったのだろうか...


空気が重く、まるで滝行をしているかの如く背中は汗でびっしょりなのは季節故か。

目の前ではにっこり笑顔の柊木生徒会長と目が笑ってない笑顔の緋奈が向き合っていた。



それは7月初め生徒会選挙があった。特段面白いことも無く今回も柊木生徒会長がなった。まぁ他に立候補する人がいたところで容姿端麗、成績優秀の彼女に勝つのは無理だろう。できるとしても緋奈くらいしか思い当たらない。

他の生徒会役員もほとんど変わり映えもなく3年が抜けた所に新しいのが入ったくらいだった。


そして次の週の昼休み、俺は生徒会長と一緒に生徒会室にいた。


「ありがとうございます、折崎さん。」

「いえ、さすがにこれは重いですからね。」


偶然廊下で出くわした生徒会長は重そうな荷物を生徒会室まで運ぶということでその手伝いをしていた。


「やっぱり男手があると違いますね。」

「生徒会の男子はどうしたんですか?」

「お恥ずかしいことに伝え忘れてて今から言うのもなと思い1人で運んでいたんです。」


苦笑しながら答える生徒会長。伝え忘れているとは少し抜けてる所もあるのだろう。イメージとしては意外に思うが。


「折崎くんはこの学校に慣れましたか?」

「まぁ迷わなくはなりましたね。」

「そうですか。ですが困った時は私に言ってくださいね?お手伝いしますから。」

「ありがとうございます。」


そう言ってまた俺と生徒会長は作業に戻る。中に入っていた過去の文化祭の資料を棚に入れていく。大湊の文化祭は10月の初めで早すぎないかと思うが毎年生徒会は夏休みに色々と決めたりしているらしい。

実際うちのクラスでも出し物が決まっており既に実行委員が提出したと言っていた。

まぁその時俺は伽奈の事で掛かりきりでほとんど何も知らず決まったことを緋奈から聞いただけなのだが。


「そう言えば折崎くんのクラスは何をやることになったんですか?」

「確か喫茶店ですよ。」

「ありきたりですね。」


予想だにしなかった言葉だった為に俺は生徒会長の顔を思わず見る。


「どうかなさいましたか?」

「いや、まさか生徒会長がありきたりと言ったものですから。」

「率直に思っただけですよ。それに喫茶店は悪くないでしょう、折崎くんのクラスには紗倉さんがいますから。」

「まぁ紗倉さんが乗り気であればですが。」


緋奈は目立ちたくないらしくあんまり乗り気じゃないことは言われた。


それにちょうど資料も整理し終えたので俺は生徒会室を後にするのだった。後ろの生徒会長の顔を見ずに...

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それでも日常は過ぎていく 白詐欺 @sirosagi

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