第2話
園子はここ二カ月ぶりで忙しく美容室に行ってなかった。
『友ちゃん何の話だろう。』
友恵さんにはもう5年位園子の担当をしてもらって居た。
園子は大きめのベージュのストールを巻き直して駅のトイレの鏡の前に居る。
一瞬顔を見てそして友恵が働いて居る美容室スターに向かう。
近くの公園はもうすっかり秋めいて枯れ葉が地面に舞っている。
この広い通りに美容室スターがある。
50メートル位先に看板が見えて来た。
「こんにちはー。」
お店に入り受付でバックやコートを渡す。
「こんにちは。園ちゃん、こちらにどうぞ。さあ、今日はどうする?」
「今長めだから揃える程度で。それでピンク系のヘアーマネキュアにしてもらいたいです。」
「了解です。こちら雑誌と飲み物何が良いかな?」
園子は温かいコーヒーを頼み雑誌を手に取ってめくって居る。
お客は園子以外居なかった。
「園ちゃん別れたんだって?
ローズもまた再開してどう?
落ち着いた?少しは。」
「うん、未だ、、ずっと雪さんが近くに居たから、やっぱりなんか変な感じ。」
雪には両親は他界していて、お墓は熊本にあるが年中行ける訳でも無いが親戚の父方の叔母が見てくれて居て東京には知り合いは園子だけだった。
だからいつも一緒に居た。
姉妹の様でもあった。
雪のマンションにもよく遊びに行ったし。
お葬式は近親者だけの小さなものだった。
今日は何故話したい事がある、と友恵は園子に電話したのか。
本当は未だ美容室の時期でもなかった。
友恵が園子の髪を揃えている。
「友ちゃん、私に話ってなあに?」
「園ちゃん今日は来てくれてありがとう。実は私あなたの旦那様だった人と会って居た事があるの。」
「なに?」
私は友ちゃんが何の話をしたいのか分からなかった。
「園ちゃん私は別れさせ屋をしていたの。別れさせ屋は相談に来る男女に相手の浮気や好みなどを情報として聞き込みそしてその別れたい人に流して行き最終的に別れさせると言うものよ。後ね、私と彼ずっと付き合ってたの。」
「えっ?何それって」
友恵が園子の髪を染めている。
園子はコーヒーを少し飲んだ。
一緒にコーヒーカップと置いてあるクッキーを食べていた。
そして園子は涙が出て来たのを防げなかった。
コーヒーカップを右手で持ちコーヒーを覗いて居た。
又涙が出て来た。
「何で又?私の何処が悪かったの?
それに夫とできていたなんて。」
夫だった男は最初電話で離婚の話をして来たのだった。
そして友恵さんは無言でシャンプーしてドライヤー、ブラシを持ってブローし出す。
「あの人今何処に?居る所知ってる?友ちゃん。」
「それ言ったら私仕事無くなるわ。私も今居る所私知らないのです。
さっ、園ちゃん出来たわよ。」
その時園子は台の上に置かれて居た髪切りハサミを掴み、友恵の左腕に振るった。
そして友恵の腕から血が白いブラウスに滲んだ。」
園子はハッと我に返ってハサミを床に落として、逃げ出した。
『嗚呼、嫌だ、私なんて事を。」
怖くてたまらなくなる園子。
そのまま走って広い通りを歩いて居た、その時!
車が走って来る道路に突っ込んで行った。
そしてそのまま帰らない人になる。
友恵さんは腕に怪我はするが命に別状は無かった。
園子は1人で仕事をした翌日、1人で死んで行った。
人の人生は本当に儚いもの。
ローズの夜話もこれで終わりだった。
ローズの夜話 月のきおん @kioco
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