エピローグ 生まれた絆
「これが報酬です。お疲れ様でした」
王都ナーサリアにある、ギルド本部。その受付で、二人は金貨二枚の報酬を受け取っていた。
「ほれ、借金完済だ」
その報酬をそのままアレンはアリシアに渡す。
「短い間だったが、まあ楽しかったよ。今度は落とすなよ?」
「あ、はい。でも──」
何かを言いたげにアレンを見上げるアリシア。だがその何かを言おうとしては顔を
「じゃあここでお別れだ。まぁ、なんだ。新生活、楽しめよ」
そんな様子のアリシアの頭を、ポンポンと叩きながら、アレンは身を
これで良かったのだ。確かにこの数日間はなんだかんだで楽しかった、とアレンは思う。まだアリシアと一緒に過ごして見るのも面白そうだ、なんて考えだって浮かんでくる。しかし、自分のような力に飢えたろくでなしと居たって、彼女のためにはならない。彼女は街での華やかな暮らしに憧れてここに来たのだから、と。
「アレン‼」
そんな彼の歩みを、少女の声が引き留める。振りむけばアリシアがいた。
「あの、えっと、その──」
しかし、その後の言葉を言い出さない。
「なんだ、用が無いならもう行くぞ?」
そう言い再びアリシアの元を去ろうとする。しかし、背後からアリシアの大きな声がした。
「キスです‼」
「はぇ?」
「っ、アレンが
顔をリンゴみたいに真っ赤にしながら、アリシアは言葉を
「あれが私の初めてでっ。いやっ、そういうことじゃなくて、えっと、その、
顔を上げアレンを見つめる。
「だからまだ完済じゃないです‼ ちゃんと責任もって全額返してください‼‼」
その必死な表情から、アリシアの心からの言葉だと、もっと一緒にいたいと言っているのだと、アレンにはわかった。
「そうか・・・・・・」
後に続く、お前も俺と同じ気持ちだったのか、という言葉はあえて飲み込んだ。
そして彼女に、アレンはいつものように、にやりと笑いかけた。
「ったく、また借金かぁ、それじゃあしょうがないな。今度のはまた高くつきそうだな」
その言葉を聞き、アリシアは満面の笑みでアレンに駆け寄った。
ダブルエー・デュオ~竜化の腕輪を付けた傭兵は、金髪美少女に金の借りを返す~ 埋火 はるの @umorebiharuno
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