うるっと来てしまいました。子供たちの想い、親の想いは、いつの世も変わらないんだろうなぁと思わされる作品でした。
童謡「シャボン玉」に込められた、作詞家・野口雨情の思い。彼を取り巻く人々。無邪気に童謡を歌う子供たち。あの有名な童謡の歌詞に、こんなにも胸を打つ物語が…と、読みながらとても心が熱くなりました。人の深い愛を知るとともに、無垢な気持ちに還って歌に触れることができる、素晴らしい作品です。
大正あたりの、セピアっぽい感じが想像できて、雰囲気に浸れる非常に良い作品でした。心情の描き方も、初心者ながら上をいく技術だなと思います。本文が終わり、演劇の話に入った部分の、映画を見終わって明るくなったときのような感覚が個人的にお気に入りです。