第六章 十一月 その23

翌朝。

例によって僕は早めに目を覚まし、準備を始める。

各所の暖房を入れ、薪ストーブに火を着ける。

…今日も寒い。

しばらくして松山が起きてきて、いつもの(?)トレーニングを始める。

本当にカーリングに効果があるのか相変わらず不明だ。

今日は人数が多いので手早く多く準備出来るお粥にしようと昨日から考えていた。

すると、廊下からなにやらずるずると引きずる音がする。

なんだろうと思い廊下を覗いてみると。

「…おはよう…」

「リューリ…おはよう」

ルームウェア姿のままのリューリが足を引きずりながら廊下を歩いて(?)いた。

…トイレだろうか?

「どうしたの?まだ寝ていても大丈夫だよ?」

「朝ごはんの準備…手伝うわ」

きっと普段は朝が弱いのだろう。

リューリはルームウェアが乱れ胸元があらわになっている。

僕は慌てて駆け寄り、胸元を整えてあげる。

「ボタン、外れてる…他の男子もいるんだから。その、気を付けて」

胸元から下着が見え隠れしてる。

「…下着、見えてるよ。…寝るときも着けるものなんだね」

「これ、ね。ナイトブラよ」

リューリが胸元を広げて見せる。

寝起き特有の汗の香りが僕の鼻腔をくすぐる。

「…見せなくていいから。というか、他の人に見られたらどうするのさ」

「あら、嫉妬してくれてるの?あなたに優しくされるなら早起きも悪くないわね」

「そう、優しくしてあげるから着替えておいで。カフェオレ淹れるね」

リューリが胸元をしっかりと隠し、部屋に戻っていく。

カフェオレとお粥では食べ合わせが微妙だから、やはりトーストでと焼こうと考え直す僕だった。


「…温まるわね…」

着替えてきたリューリがカウンター席でカフェオレを飲みながら溜め息をつく。

「トースト何枚食べたい?」

「一枚で充分」

「生野菜は平気?」

「大丈夫。大好きだわ」

…なんだろう。こういう会話って…。

「お二人とも新婚さんみたい。あ、ご…ごめんなさい。わ…私もお邪魔してもいいですか」

新田さんがいつの間にか来ていた。

…見られた。

「もちろん、どうぞ。カフェオレで良ければ淹れるよ?甘くする?」

「あ、はい。お願いします。あ…甘いの、好きで…す」

最後は消え入りそうな声だった。

佳乃よしの、起きたか」

松山が意味不明なトレーニングを終え、こちらにやってくる。

「京ちゃん…。またトレーニング?」

「もちろん。日々ステータスアップだぜ」

苦笑いする新田さん。

「ごめーん。遅くなった!手伝うよ!森島君!」

部長がどたばたとキッチンに入ってくる。

「私も手伝うわ」

「そ…それじゃあ私も…手伝います」

部長、リューリ、新田さんに手伝ってもらいながら、僕は朝ごはんの準備を進めた。

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