第六章 十一月 その20

二十一時を過ぎた頃。

交流会はお開きとなった。

「早すぎないか」

顧問の杉村先生が僕に聞く。

「軽井沢は保養地です。二十一時以降騒ぐわけにはいきません」

「お前、本当にかったい」

呆れられてしまった。

全員で片付けを行い、各自帰っていった。

「わへいさん、また明日」

秋さんが手をひらひらさせて去っていく。

僕はリューリが噛みついた首筋を押さえながら手を振り返す。

リューリが僕の肩に手を置き秋さんに手を振る。

…ちょっと怖いぞ。リューリ。

そして僕の家には僕、旭先輩、友利、部長、野山先輩、リューリとKF高校の三人(牧村先生、松山、新田さん)が今日の宿泊者として残る。

「ハナちゃん、リューリさんお風呂行こー?森島君の家のお風呂広いんでしょう?楽しみ!」

「わへいの家のお風呂は一度に六人は入れるわ」

「…」

リューリの発言に言葉を失う部長と野山先輩。

心の中では何故知っている、ひょっとして使ったことある!?

=《イコール》お風呂を使う間柄なの!?この二人!

という考えが見えるようだった。

「違いますからね?この間掃除手伝ってもらった後で埃っぽいからシャワー浴びて行っただけですよ!?」

二人から本当か、みたいな目で見られてしまった。

…まぁ何もしてないかというと…断言出来ないのだが。


女性陣がお風呂に行った後で一番風呂(男湯)を松山に譲ることにする。

「ありがとうな、さっぱりしたぜ」

松山がTシャツにハーフパンツというラフな格好で戻る。

…もちろん頭は乾かしてない。

身体的には女性そのものなのでかなり無防備な格好だ。

「頭、乾かしてこいよ。まったく…」

面倒めんどー

僕は昨日見ているが初めて見る旭先輩と友利は驚いているようだった。

僕は調子が悪いとか適当に理由を付けてお風呂を回避する。

本当の理由は首筋にリューリの噛んだ痕(あと)が付いているからなのだが。

「よし、行こーぜ友利!俺の必殺パワーゲイザーを見せてやる」

「それって絶対に水面叩くだけですよね」

二人で騒ぎながら行ってしまった。

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