第四章 七月その7
リューリは怒り出すこともなく、僕の言葉を受け止めたようだった。
「…耳に痛い言葉ね」
ふぅっと息を吐き出しながらぽそりと呟く。
「良薬口に苦しっていうけど。耳に痛い言葉はきっと真実ね」
…心当たりがあるのだろうか。
僕は背中に嫌な汗をかく。
「男の子はヤりたいだけ、か。あなたもそう?」
一瞬聞かれたことの意味が分からず戸惑う、僕。
「わへいも私を抱きたい?」
頭をハンマーで殴られたような感覚。
彼女に対してここまで踏み込んだ会話をしてしまった。
こんな会話する資格が僕にあるのだろうか?
「生物的には…Yesかな。それは僕が男で君が女性だから…本能的にそうなるよ」
…自分でも言い訳がましいと思う。
「一人の人間としては、Whoa《ウォー》。そんな覚悟はないよ」
「…そうよね。私はね、私をよく理解してくれる人に寄りかかりたい。私を、ね気持ち良くしてくれる人といたい」
そこでリューリは突然ふふっと笑い出す。
「さっきの会話…ね」
さっきの、とは野山先輩に突っ込まれた会話の事だろう。
「気付いてた?なんていうか、その、男女の事後みたいな会話」
「…気付いてた。野山先輩に聞かれてるのも分かってた」
「ふふっ。あなたも意地が悪いわ」
「君も相当だけど」
「カーリングの会話であんな話になるのね。知らなかったわ」
僕は先ほどの会話を思い出す。
そして、はっとしてリューリに話しかける。
「リューリ、その、もう一度僕と…しないか?」
なんだか周りがまたざわっ、としたようだが気にしない。
「次はもっと君を気持ち良くさせてみせる」
「カーリングの話、よね?」
「Yes」
僕は勢い良く頷いた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます