第二章 五月その3

「そろそろチームを決めます」

五月中旬、体育館でフィジカル練習をしているとき、部長が発表した。

ざわざわと騒ぎ出す部員達。

「…カーリングってチーム固定なのか?」

「…その質問は僕と友利以外には言うなよ?」

僕が質問すると苦笑しながら黒崎が言う。

「男子は男子で。女子は女子でチーム決めてね」

続けて部長が言う。

「1ヶ月後に練習試合しますからね」

さらにざわざわ。

「他はどうか知らないけど、うちは自分達で話し合って決めてるね。顧問の先生の方針でさ」

旭先輩が言う。

顧問の先生は初日に見たが、それ以外はたまにしか来ていなかった。

カーリング場での練習ではたまにカーリング場のコーチが指導に入っていた。

そして。

男子部員が部室に集まり二年生が中心になってチームを決めた。

とりあえず知り合いを集めたのだろうか?

僕は旭先輩、黒崎、友利とのチームとなった。

「よろしくですね。わへい君」

友利がひょろりと現れる。

「旭先輩、ポジションどうしましょうか?」

あちらでは黒崎と旭先輩がポジションの話をしている。

「そうだなねぇ…。経験的にも黒崎がスキップじゃないか?」

「僕は構いませんよ」

「じゃあオレがサード。わへい君がリード、友利君セカンドでどうかな?」

「いいと思います。とりあえずやってみましょう」

「OK。じゃあチーム名はチーム黒崎か?」

カーリングは普通、スキップの名前をチーム名にするのだと後から黒崎が教えてくれた。

「…仕方ないですね」

こうして、僕のチームが決まった。




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