西園寺 遥美

私、西園寺 遥美は妹達2人と途中で別れて数分後、私立藍那高等学校に到着しました。

この学校はこの辺りではそれなりに有名な進学校ですが、1番の進学校という訳ではありません。なので、中学時代、私は先生方に1番の有名進学校の受験を薦められましたが、私は絶対は断固としてここを第一志望から変える事をしませんでした。


その理由の一つとしては、この学校が私の母達の思い出深い学校であるという事です。母達の最初の出会いは厳密に言えばこの学校ではないのですが、母達が今のような関係に至ったのは、この学校から始まったとよく私達の娘の前で惚気ています。今でもラブラブなのは良いことですし、2人が愛し合ってるからこそ私達が産まれたので文句は全くありませんが、もっと自重してもらいたいものです。主に遥香お母さんが。



そして、もう一つの理由が……


「本当に来ましたわね!西園寺 遥美!」


校門の前で腕を組んで仁王立ちし、私を発見すると私にむかって不敵な笑みを浮かべてその女子生徒は言った。

この学校では、女子なら蝶ネクタイ、男子ならネクタイの色で何年生か分かるようになっている。私は緑で今年入ったばかりの一年生を示していて、その女子生徒の蝶ネクタイの色は赤で、私の2つ上の3年生である事を示している。

金髪の漫画のようなお嬢様風の縦ロールな髪型をしているが、彼女はれっきとしたお嬢様で金髪だけど立派な日本人である。彼女の名前は鷹城たかじょう 麗奈れいな。私の叔父達が経営している「西園寺グループ」のライバル企業と言われている、「鷹城コンツェルン」の社長の一人娘である。尚、彼女が金髪なのは遠縁に海外の人がいて、その遠縁の血を継いだという事らしい。


「鷹城先輩。おはようございます」


「あっ、これはご丁寧におはようございます」


私は2つ上のこの先輩に後輩らしく丁寧に頭を下げて挨拶すると、向こうも丁寧に頭を下げて挨拶を返してくれた。が、すぐにハッと我に返った鷹城先輩は


「って!?違うわよ!!?私はあなたに挨拶しにきたんじゃないわよ!!いいこと!私は!絶対にあなたに負けないんだから!覚えておきなさいね!」


鷹城先輩が私を指差してそう宣言する。私はとりあえず「はぁ……」とだけ返したら、それで満足したのか鷹城先輩は立ち去って行った。

実は、鷹城先輩とは中学時代からの付き合いだが、中学時代からずっとあんな感じだった。恐らく、私が西園寺グループの現会長の血縁者という事もあって、私をライバル視してるんだと思うのだけど、そもそも学年が違うから対決なんて出来るはずもないのだけど……



それに……私が鷹城先輩に抱いている想いは……



「はぁ〜……鷹城先輩を監禁したい……」


そう。鷹城先輩を監禁して、裸にひん剥いたら、手錠とか鎖とかで逃げられないようにして、あの強気な瞳を涙目にして、生意気な事を言ったら猿轡をするのもいいですね。それから……


おっと……コホン。申し訳ありません。これ以上は一般向け小説では語れないので割愛させていただきます。

そう。私は鷹城先輩に惚れてしまったのです。しかも、少々歪んだ愛情をもって。


「ふぅ〜……やれやれ……私もお母さん達の事言えませんね……」


私は軽く溜息をついてそう言った後、自分の鷹城先輩への気持ちを振り払うように首を横に振って私は学校へと入っていく。


この学校でどうやって鷹城先輩を籠絡していくか考えながら……

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噂の西園寺家の事情 風間 シンヤ @kazamasinya

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