娘達を出迎えて

『いってきます!真由美お母さん!遥香お母さん!』


学校へ行く準備が整った3人は、3人声を揃えて学校へ向かいます。私と遥香は笑顔で「いってらっしゃい」と言って娘達を送り出します。


「遥香お母さん。いくら今日が休みだからって真由美お母さんに無茶させないように。夕飯も家族揃って食べられるようにちゃんと自重してくださいね」


遥美が最後に遥香に対して忠告する。遥香は長女からの忠告を受けて言葉を詰まらせる。私も思わず苦笑い。私もよく遥美に


「真由美お母さんは遥香お母さんを甘やかしすぎです」


って忠告されるのよね〜。でも、皆さん仕方なくないですか?最愛の人に甘えられたら誰だって甘やかしたくなりますよ……

などと、頭で言い訳していたら、娘達3人の姿は見えなくなった。今頃は階段かエレベーターで下まで降りている頃だろうか?娘達は途中から別れるけど、通学路はほぼ一緒なので、途中までは3人一緒に通学路を渡る生活になるだろう。


「それにしても……遥美ももう16になったんだね……」


遥香はしみじみと呟くようにそう言った。


「そうね〜。産まれてきてくれた時の事は今でもよく覚えてるわ。まぁ、出産時は激痛以外の記憶がないのだけど……」


「あははは……ごめんね。真由美にばっかり負担かけさせて……」


「いいのよ。2人で真剣に話し合った上で決めた事でしょ」


私はあの当時の事を思い出してそう答えた……



遥美の出産前、本当は遥香は自分自身に「MH技術」を施すつもりでいた。自分が導き出したものだから、自分がやらなくては意味がないと。

しかし、私がそれを拒否して私に「MH技術」を施してほしいと遥香に訴えた。「MH技術」は遥香が生み出し、あの当時はまだ遥香にしか出来ない技術。自分が実験体になったら、その技術を他人に預けなくてはいけない。むしろ、その方が危険だからと私が訴えた。

最初は私の訴えを渋っていた遥香だったけど、私の正論と、私の想いが本気であったのと、私が心の底から遥香の事を信頼してるのを感じ取ったのか、遥香はようやく了承してくれた。

こうして、私は「MH技術」を受けた。そして、その技術を受けた事により、遥香と……そのそういう行為をすると妊娠しやすくなる身体になった。そうして、遥香の見立て通り私は妊娠し、その後遥美を産んだのである。

ただ、唯一の計算外だったのが、「MH技術」の大きな副作用で、出産後も……その……発情しやすくなり……しかも、妊娠しやすい身体が継続な訳で……結果、その後すぐに真由香や美香も誕生したのである。



「……正直、まだちょっと不安な部分もあったりするの。遥美達は最初の「MH技術」によって誕生した子達だったから、もちろん私はミスや母体や子供に負担をかけないよう心掛けたし、普通の出産と変わらない感じになるようにもした。けど、やっぱり本当に最初に人で試した……言ってしまうと実験だから……やっぱり不安や恐怖や罪悪感は消えないよ……」


先程朝食時にあんなにおちゃらけていたとは思えない真剣な眼差しでそう言う遥香。私はそんな遥香の手をギュッと握った。


「だとしても……私は何も後悔してないよ。遥香と結婚して、遥香が考えた技術の実験体になって、遥香の子供を産んだ事も全部」


「真由美……」


「だって、遥香は私に全部与えてくれたから。もう結婚出来ないと思っていた私に結婚する幸せをくれた。最愛の人との子は産めないと思っていたけど、それも叶えてくれた。だから……私は遥香と出会って遥香と結婚して遥香との子供をもうけて本当に幸せよ」


私は心の底からの本音を言った。私の言葉を受けてしばし俯いて黙る遥香。が、すぐに……


「真由美〜!!私も真由美を愛する事が出来て本当に幸せだよぉ〜♡♡」


私に飛びかかり、そして私を押し倒して、いそいそと私の服を脱がそうとする遥香。


「ちょっ!?待って!?遥香!?ここまだ玄関で扉閉めてないからぁ!!?」


とりあえず、私の訴えは聞いてもらい、私達の部屋へ移動する事になった。



ごめんね……遥美。お母さん達は自重出来そうにありません……

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