猿好きな僕の婚約者 ~彼女の口癖は「ウッキッキー」~

せんぽー

猿好きな僕の婚約者~彼女の口癖は「ウッキッキー」~

「あそこ猿がいるわっ!! ウッキッキー!!」




偶然見つけたお猿さん。

今まで本でしか出逢ったことがなかったけれど、やっと本物に。


街中でアリーシャは猿のような甲高い声を上げ、リードが付けられたお猿さんの下へと歩いていく。

その隣には高貴な男と護衛も付いていた。




「やめて……アリーシャ。恥ずかしい」


「あら、私はいつも通りですわ、殿下。ウッキッキー!!」




これが私の平常運転。

家では猿モノマネとして廊下で「ウッキッキー!!」叫びながら走る。


そのせいか知らないけれど、お母様が激おこぷんぷん丸の状態になるのだけれど。

でも、そのくらい猿は好きなのよ。




「ウッキッキー!!」


「本当にやめてよ……婚約破棄するよ」


「いいですわよ。私には相手がたくさんいますので。ウッキッキー!!」


「ふぇっ!?」




この国の王子で私の婚約であるレント王子はなんともいえぬ声を出す。


そんな声を出せるなら、お猿さんと交流してほしいですわ。




「相手って……」


「もちろん、お猿さんですわ。南の方に行けばお猿さんがたくさんいらっしゃるとお聞きしたので、婚約破棄後はそちらに参りたいと思っていたのですの、ウッキッキー!!」


「へー。それでアリーの父上様が婚約をあんなに必死になっていたのか……」


「そうなんですか、それは初耳ですね。ハッ!!」




あたりを見渡すと猿がいっぱい。

通りにはお猿さんが芸をしたり、商人とともに商売を手伝っていたり……。

なんて賢いのっ!!


そして、今日はなんて日よ!!

お猿さんデーじゃないっ!!




「ヤッフ―――――!!! お嫁さんがいっぱいだわっ!! ウッキッキー!!」


「お嫁さんっ!?」


「ウッキッキー!!」




そうして、彼女は婚約者である王子をおいてその通りを十二分に楽しんだとさ。




「ウッキッキー!!」

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