第2話 帰途につく、驚愕の事実を告げられる
ということで僕たち二人は一限目が始まる前にそそくさとカバンを持って玄関に行き、そそくさと学校を後にした。僕の通っている高校はどちらかと言えば都会にある。雪はたまにしか降らないし、積もることもそう多くない。だからそう歩くのに苦労することもない。しかし、駅まで異様に遠い。四キロくらいあるんじゃないだろうか。バスを使って通うこともできなくはないが、電車の定期しか持ち合わせはない。ベリーショート男も同様のようだ。
「あー遠いよ駅……」
僕はかったるさをもろに出した声で愚痴り、虚空を見つめる。
「お前の目の方が遠いだろ」
笑いながらつっこんでくるベリーショート男。へこんだ心にも容赦なく突っ込んでくるあたり、なんかこだわりでもあるのかと疑いたくなる。
「お前のその突っ込みなんかこだわりでもあんの?」
とりあえず聞いてみると、
「この髪型並みにこだわりあるぜ!」
ベリーショート並みにこだわりあるのか。相当なこだわりじゃないか。
「……ところでさ」
僕はベリーショート男に例の写真について聞くため、切り出す。
「あの写真、どうやって手に入れた?」
どんな方法を用いればあんな写真を手に入れられるのか。
「あーあの写真か」
「そーその写真だ」
例の画像をベリーショート男がスマホの画面に写し出して僕に見せてくる。
「……お前のメンタルをぶっ壊すことになるけど、それでもききたいか?」
めずらしくシリアスなトーンで聞いてきた。どういうことだ?
「……どういうこと?」
ごくりと固唾を飲む。このベリーショート男がシリアスなトーンで話すときは大抵、衝撃的な事実を話すことしかない。
「……お前の小学生時代の親友から『アイツの恋人とっちゃったwww』ってダイレクトメッセージが送られてきたんだよ」
……え? 今なんて言った?
「目見開いてるな……お前の小学生時代の「わかったもうわかったから言わないでくれ」わかったから俺の首を絞めようとするな」
小学生時代の親友? そいつが僕の恋人を奪った? どういうことだよ。
「……どういうことだよ……?」
首を絞めようとした手を引っ込め、呆然とつぶやく。
「そりゃ驚くわな」
ベリーショート男のトーンはシリアスなまま、しかし、その目つきは警告を促すかのような鋭さを宿していた。
「お前が訊きたいのなら……さらにショッキングな情報を提供してやるよ。それからどうするかは、お前次第だけどな」
「……ああ、訊かせてくれ」
現実感のなさを抱きつつ、僕はベリーショート男に向かってお願いした。
オダマキ アリエのムラサキ @Murasaki2020
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