カップそば at年越しスカイプ

 えっと、次にここをタップして・・・・・・あれ、これで合ってるんだっけ。


 んっと・・・・・・うん、合ってる。


 今の時間は・・・・・・11時37分か。30分に待ち合わせだったっけ。


 で、次にここのグループを・・・・・・あ、招待されてる、って事はもう入れるのかな。


 ・・・・・・おっ。


 「上原っちおそーいし!」


 「こんばんわ先輩。」


 「あ、うん。ごめん、ちょっと手間取っちゃって。」


 スマホの画面が左右に分断され、左に佐久間さん、右に渡辺さんが映っている。


 「あ、そばちゃんと買ったー?」


 「うん、買ったよ。」


 「は、はい。ここにあるッス。」


 「何買ったー?あたし天ぷらそば!」


 「私は・・・・・・鴨出汁だね。」


 「私はどん兵衛ッス。」


 「佐久間さん、もしかしてそこに映ってる2個を食べるの?」


 「あ、はい。でも夜なのでそんなに食べないように気を付けてるッス。」


 「そ、そうなんだ・・・・・・。」


 私と渡辺さんが買ったカップそばって小さ目のサイズだから、どん兵衛のあの容器一つでもかなり大きく感じてしまう。


 「で、二人は何見てんのー?あたしジャニーズのやつ!」


 「あ、えっと。私はアイパッドでyoutubuッス。年末生放送がやってまして。」


 「私は・・・・・・紅白見てるよ。」


 「マ?あたし、見たいアーティストいんだよねー。その人の出番になったら教えてくんない?」


 「ん。分かった。」


 スカイプ、って便利だなぁ。


 まさか、二人と年越しをこうして迎えられるなんて。


 「お・・・・・・もうそろお湯いれる?55分なったし!」


 時計時計・・・・・・あ、スマホだから右上を見ればいいんだ。


 「ん、そうだね。入れてくる。」


 「じゃ、じゃあ私も行ってきますッス。」


 あ、テーブルの上に魔法瓶がある。


 使用人の人が、持ってきてくれたんだ。


 ペリ、と蓋を剥がし、かやくを入れ・・・・・・粉末スープは先入れなんだ。


 じゃあ入れて、と。


 そして、お湯を線のとこまで・・・・・・。


 で、箸を上に置いて蓋を重みで塞いで。


 で、タイマー・・・・・・は、無いや。


 「ただいまー。3分タイマーセットしたし!」


 「あ、ありがと。助かるよ。」

  

 「ただいまッス。」


 3分かぁ。


 ・・・・・・意識しちゃうと長いな。


 「いやー今年も楽しかったし。」


 「そうだね。」


 「あ、夏の水着さ、さくさくの可愛かったし。」

 

 「あ、うん。すごく可愛かった。」


 「え、あ、ありがとうッス。あ、でも先輩方も綺麗だったッス!」


 「えー?そこはかわいいじゃないのー?」


 「あっ、スイマセンッス。」


 「ふふ。」


 ピピピピピ


 「お、三分。じゃ、食べよっか。」


 「うん。」


 「了解ッス。」


 箸を持ち、蓋を剥がす。

 

 あ、いい匂い。


 白い湯気に乗って、お出汁の匂いが鼻に触れてくる。


 「「「いただきます。」」」

 

 麺を挟んで・・・・・・ふぅ、ふぅ。


 よし、いこうかな。


 「んむ。」


 ずるずる。


 ん。美味しい。


 その時、ゴーン、と鐘の音が聞こえてきた。


 「お、除夜の鐘。あけおめー」

 

 「あ、その。新年もよろしくお願いしますッス。」


 「うん。今年もよろしくね。」


 そして、お液を飲み干し、


 「「「ごちそうさま。」」」


 「あ、スカイプどうする?」


 「ん?あー、寝落ちするまで付けっぱでいいんじゃない?」


 「分かったッス。」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る