4、転生迷惑
いやいやマジか。 こいつが借りた本を調べてみると、空き時間が二時間もあれば読み終えてしまう程度の量だ。 しかもそれを三ヶ月も前に借りている。 一行ずつ、いや一日一文字のペースで読んでるのかこいつ。
「え…っと…、今日はなんのご用でこちらに?」
「お前の文面が気に入らなかったからだよ!」
「それで本の返却は?」
「んなもん知るか!」
俺は口をあんぐり開けて瞬いた。 こいつの元に貸し出された本が可哀想になってきてしまう。 加えて他の利用者が何事かと眉間に皺を寄せてこちらを覗き込んでいる。
本当に申し訳ない、うるさいよねコイツ。
「あの、ここですと他のご利用者にご迷惑が」
「お前が謝ればいいだけだろうが、誠意を見せろって言ってんだよ!」
話も通じないとなるともう救いようがないな。 仕方がない、俺はため息をついて立ち上がった。
「表でお話ししましょう。 そっちのがスムーズです」
転生した世界の図書館で世界一の魔法使いになったが本を読ませてくれ! 鬼灯 一夏 @hoozukiikka
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