3、転生苦情

今日も今日とてメーティスにこき使われて一ページも読む暇すらなかった。 しかしあと一時間もすれば今日の仕事は終わって、念願の読書タイムになる。

(昨日はミステリーのトリック解く直前まで読んで終わったしな。 どんな風に解説するか楽しみだな)

「おい」

ウキウキで考えていたところ、いきなり机をドンと叩かれる。 視線を向けると若い冒険者が眉間に皺を寄せ、怒っていた。

「お前がフジか」

「はぁ…そうですけど」

そういうと、そいつはポケットからぐしゃぐしゃになった紙を取り出し、俺に突きつけてきた。

「あー昨日の督促状ですね。 それがどうしました?」

「どうしたじゃねえ! この文面だ! 俺をおちょくってんのか!」

昨日送ったものは俺なりの言葉、要約すると「日付も読めねえのか」みたいなことを書いた記憶がある。

「客をナメてるのかってんだ!」

「はぁ…すみません」

謝りながら俺は本を受け取るために両手を伸ばした。 しかし

「なんだよこの手は」

「え? 本の返却に来たのではないんですか?」

俺が疑問をぶつけると、そいつはさらに真っ赤な顔を茹でたタコのように真っ赤にしてキレた。

「まだ読み終えてねえんだよ! ふざけるな!」

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