6
「アルッ!」
イトラエンジンを起動させ、ゴーレムの力を取り戻した私は、まず全力でアルを突き飛ばすことだった――まずは彼女の安全が第一。私と違って、彼女の代わりなどいないのだから。
そして、アルを突き飛ばした反対の腕に、エネルギーを送る。限界ギリギリまで送る。鉄腕の噴出口から漏れ出した蒸気が、今か今かと爆発の瞬間を急き立てる。
落石鳥の眼が、こちらを捉えるのと同時に――私は、その懐に潜りこんでいた。
――今だッ!
「スチーーーームインパクトォォォ!!!」
バシュンという音と共に、肘にある巨大な押し子が起動する――同時に、腕に圧縮された蒸気が一斉に押し出される!
「おおおおおおおおっ!」
そんな凄まじい空気の力を乗せて、私は拳を振るった! 当たれば問答無用で一撃必殺! 金剛石すら木っ端微塵にする、万壊の拳!
(Sランクの害獣だろうと、ただでは済むまいよ――!)
どうか、この一撃で終わってくれ。
そんな一縷の望みをかけた拳は、しかし虚しく空を切った。
(な――まさか、あの距離で回避できるのか!?)
落石鳥は、紙一重で私の拳を回避していた。飛び散った七色の羽根が、頬の横を通りすぎる。
落石鳥の瞳は、呆気に取られる私をじっと見ていた。
「キュエエエエエアアアアアアアアアアアッ!!!!!!!!」
そして――
(恐怖なんて感情は、とっくに捨てたと思ったんだがな――)
しかし、そうは言っていられない。
こうなった以上は――戦う他ない。
「来い、鳥風情が! ロストテクノロジーの意地を見せてやる!」
かくして、Sランク害獣との死闘の火ぶたが切って落とされた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます