オタク向け婚活に参加した男性が、ライトオタクかつ手芸趣味の美少年と出会うお話。
タイトルそのまんまですが、本当にタイトルそのまんまです。看板に偽りなし。つまりはそういう話ですので、そういう話のつもりでもりもり読みました。ご馳走様でした。とっても美味しかったです。
この『美少年』というのは、本当に読んで字の如くの少年です。なんなら『こども』といってもいいくらいの年齢。それが二十九歳の大人の男とはたして結ばれるのか結ばれないのか、考えようによっては大変スリリングなお話でもあるのですが、でもそれをいうのは野暮というもの。
とどのつまりはこの作品、古き良きJUNEの世界なのだと思います。
作中における美少年という概念は、それ自体がある種の幻想のようなもの。まだ『男』でもなければ当然女でもない、ごく短い一瞬の季節にのみ存在できる、ある種の妖精にも似た形而上の存在。そういうものとして楽しみましたっていうかすみません個人的な性癖の都合上どう頑張ってもそこに刺さります。おかしなこと言ってたらすみません。でも刺さりました。最高でした。
なんかテンションがおかしくなってきたのでここまでにします。美少年が魅力的なお話でした。
不意の出会いで始まり、心通うキスで終わる、清々しいほどに美少年へまっすぐに向かう恋のお話でした(主人公にはまぎわまでその自覚が薄いので、表面的には紆余曲折があるのですが)。
自分は、一気に読むときには章ごとに応援を入れないタイプなのですが、渚くんの都度都度のしおらしさにハートを飛ばす指を止められませんでした。特に三話では、実際的には正しい相手である姉がしゃしゃり出てきたことで渚くんは幕の後ろに追いやられ、途中痛々しく暴力で苛まれるのみであるので、これはちょっとハートなしで次の話に…と思っていたら最後の一行でまさしくドラマのヒロインよろしくあらわれる渚くん。これぞ!とハートを飛ばした瞬間でした。
とても面白かったです。