第二回 名節を飾りて獨孤に孝を盡くし、陰謀を蓄えて楊素と交歡す
※
一夜明けた早朝、男児出生の報せを聞いた文帝は大喜び、
皇后が金龍の夢を語って聞かせましたところ、
「天を
▼諱は本名ですが一般には
さらに一日が過ぎると文武の百官が上表して男児出生を慶賀し、文帝は詔を発して天下に
※
文帝の治世はいよいよ平穏、瞬く間に十年余りの時が過ぎます。
その一方、計略を好んで目的のためには手段を選ばず、密かに人の気持ちを察する陰の気性でもございました。
皇后はただ楊廣の聡明を喜び、文帝の
文帝もその成長を知ると皇后に
▼晋陽は黄河の北、山西の大都市です。
※
晋陽に赴任した晋王には多くの車馬が従い、臣下に
このままでは一生を臣下として終えることになると憂え、どうすれば自らが皇太子になれるか思案する日々でありました。
思い悩んだ晋王は、腹心の
この段達は心の曲がった小人に過ぎませんが、それゆえ役にも立ちます。たちまちのうちに一計を案じ、腹心の者を都に遣わして皇太子の
※
晋王の兄にあたる皇太子の
▼小節は「つまらない儀礼」といった程度にご理解下さい。
父母の安否を問う
気の強い皇后はこれが気に入りません。
さらに、
ある日、元氏がにわかな病で世を去ると、皇后は雲氏が暗殺したのではないかと心に疑います。
皇太子の落ち度を探していた晋王は皇后の
皇太子に失望していた皇后はこれを喜び、事ごとに晋王の親孝行を称賛したのでございます。
※
それより一年ほどが過ぎ、晋王は再び段達に
その文には、入朝して父帝の
▼「縷々と」は「長々と」くらいの意味です。
文帝は一読して晋王には父母を慕う孝心があると大喜び、詔を下して入朝を許しました。
日ならず晋王は
▼隋は
これは、文帝が
宮城の
こうなると、百官に晋王の賢明を
※
文帝のお召しを受けると晋王は
文帝は殿に上がるよう命じ、酒宴の席に着くよう勧めます。
「晋陽ではどのように
「ただ倹約して民の負担にならぬよう勤めております」
文帝はますます喜び、後宮に入って皇后にも顔を見せるよう命じたのでございます。
※
晋王は手ずから礼物を捧げ、長らく
しばしの歓談の後、退出しようとした晋王ですが、わざとぐずぐずして物言いたげに皇后の顔を見ております。
「言いたいことがあるならば、はっきりと申しなさい」
煮えきらない態度を皇后が叱ると、晋王は地に伏してただ涙を流すばかり。
驚いて助け起こし、その故を問えば
「私は愚かで余人に
「楊勇めが、我が身の不孝を顧みもせず弟の孝行を
皇后が怒ってそう言うと、晋王は心中に喜んで恩を謝し、王府に帰って段達に首尾を語って聞かせたのでございました。
※
「この計略を
晋王はそう言うと、黄金百両、
あまりに多くの礼物を前にした楊素は
数日後、恩を謝するべく楊素が自ら晋王府を訪ねました。
段達たちが楊素をもてなし、屋敷の奥に進むと晋王がわざわざ出迎えます。楊素が一礼して共に
※
楊素も永らく朝廷に仕える身であれば、晋王の
「陛下はもはや高齢、皇太子は
心中に計を定めると、
「殿下の聡明は衆目の一致するところ、今や皇太子とて及びますまい。かつて皇太子を立てられた際、この老臣のみならず両陛下も十分に
「兄上は皇太子となって久しく、朝廷では賢臣たちが政務にあたっております。
「殿下はご存知ありますまいが、皇太子はこの
「
「皇后陛下がそのようにお考えであれば、老臣がお助けしないわけには参りませぬ。殿下におかれては心を安んじて
二人はそれより数杯の酒を酌み交わし、日が落ちてあたりが暗くなった頃、楊素は再三に
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