三段目
(出囃子)♪でんでけちんちんでんちきちん♪
先日私、相撲観戦に行ってまいりまして。
実は、初めて生で相撲を見た訳なんですけれども、やっぱり日本人の力士も大きいですな。
最近は、グルジアやロシア出身の大きな力士がおりますから、日本人の力士は何となく小さく見えますけれども、それでもだいたい190㎝前後身長があるようで。
あの昭和の大横綱・千代の富士も画面では小さく見えましたけれども現役時代は183㎝ありましたから、やっぱり一般の人の中にいれば大きい方になりますな。
しかし、ただ単に大きければ良いと言うものではないのは、相撲の世界も同じようです。
親方;おい小平太っ、もっと集中して稽古しろっていつも言ってるだろ!
小平太;へぃ、親方。すんません。
親;もっと頭から当たって行くんだよ!
小;へぃ。
(兄弟子に頭から突進して、横から張られて向きが変わり壁に激突する)
親;小平太、おめぇってやつは、ほんと不器用だなぁ。
小;へぃ、親方。すんません。
親;ちょっとこっち来な。
小;へぃ、親方。すんません。
親;こっち来いって言っただけなんだから、いいんだよ謝らなくて。
小;へぃ、親方。すんません。
親;・・・。いいかぁ、おめぇは名前に似合わずデカいんだから、もうちょっと頭使って相撲を取れば幕内だってすぐなんだよ。
小;へぃ、親方。すんません。
親;おめぇの図体でまだ三段目なんて、もったいねぇじゃねぇか。しかもうちの部屋に来てもうかれこれ5年だぁ、なぁ!もう一がんばりして早ぇとこ出世して親喜ばしてやれよ!
小;へぇ、親方。すんません。
親;俺だっておめぇ、もっと逞しいしこ名つけてやりてぇと思ってるんだぁ、なぁ。もうちょっと機転利かせて相撲取ってみろい!
小;しこ名だなんて、もったいねぇ親方。おらぁまだまだです。
親;そんな遠慮してちゃぁしょうがねぇだろ!そんなんじゃいつまで経ったって幕下へ上がれねぇぞ!おぃ!?
小;へぇ、三段目で十分です。だっておらぁデカ過ぎて、どうせすぐに幕の外に出ちゃいますから。
Copyright © 2010 copyrights.www.ochiblo.com All Rights Reserved.
超短落語 ねーぶるよっしー @marukichi730
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。超短落語の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます