第114話 1560年9月『茶室』(3)
お! 小早川さん、ようやく準備が整ったのか?
準備はもう少しかかりますが、決行する時期を決めないといつまでもズルズルと時間だけがすぎてしまいますからね。
まさか、切羽詰まるような出来事があった訳じゃありませんよね?
小早川繁平
大丈夫です。竹中さんにお借りした忍者の皆さんの働きのお陰で予定よりも早く実行に移せるようになりました。
竹中さん、本当にありがとうございます。
竹中重治
それを聞いて安心しました。
お礼はそちらにお貸ししている忍者に直接言ってください。きっと喜ぶと思います。
即位の礼のタイミングで脱出か。
毛利元就も京に出て来ているでしょうし、手薄になりますね。
詳細は?
即位の礼のタイミングといっても当日って事ではないだろうから、Xデーはいつにするの? 後、逃げる場所とか逃走ルートも決めないと。手はずもだね。
小早川繁平
Xデーはまだ決めていません。逃げる場所やルートもこれからです。出来れば皆さんのお知恵を拝借したいと思って話を切り出しました。
安東茂季
ああ、そうか。まあ、そうだよね。先走ってごめん。
小早川繁平
いいえ、私の方こそ説明不足で申し訳ございませんでした。
伊東義益
小早川さんもついに脱出かあ。ぜひ成功させましょう。
これで医療改革が現実味を帯びてきたな。
一条兼定
医療改革は脱出してからだね。失敗したら竹中さんと伊東さんが早死にしてしまう。
伊東義益
縁起でもない事を言わないでくださいよ。
竹中重治
私は病気ですが、伊東さんは暗殺の可能性もあるので十分に注意してくださいね。
伊東義益
ちょっと、やめてください。例の家臣の娘を側室にして阿喜多殿がブチ切れるってやつですよね?
大丈夫です。側室いませんから。
北条氏規
暗殺の原因は定かじゃないのでそれでも注意することに越した事はありませんよ。
最上義光
暗殺説がどんどんと濃厚に(笑
竹中重治
史実で病死していないからといって、この新しい歴史の中でも病死しないとは限りません。暗殺に至っては史実よりも可能性が高くなっていると思います。
全員、病気も暗殺も気を付けましょう。
北条氏規
そうですね。もう私たちの知っている歴史とは大きく変わっている訳ですから、ここからはこれまで以上に慎重に行きましょう。
小早川繁平
本当ですね。慎重に行動しないといけませんね。まあ、上洛のどさくさに紛れて逃亡を図ろうとしている私が言えた義理ではありませんけど。
伊東義益
小早川さんの場合、どう動いても危険が付きまとう訳ですから、ここは気持ち次第でしょう。
一条兼定
全然慰めになっていないよ、伊東さん
俺と北条さんが即位の礼に出席できるかは
一条兼定
任せて! より取り見取り、目移りするくらい集めとくよ。
竹中重治
北条さんのモチベーションにかかわりますからねえ、ロリ姫たち。
伊東義益
モチベーション維持なら問題ありませんが……無茶はしないでくださいね、北条さん。
北条氏規
もちろん、皆さんに迷惑を掛けたりしませんよ。キッチリと長尾景虎を足止めしてから京へ向かいます。
小早川繁平
長尾景虎が攻めて来ているのに、敵方の総大将は京に物見遊山ですか。表向きは即位の礼への出席とはいえ、長尾景虎は怒るでしょうね。
一条兼定
考えてみれば酷い話だな。
安東茂季
関東で一人吠えている長尾景虎が目に浮かぶなあ。
最上義光
大丈夫! そのときはきっと親友の
竹中重治
じゃあ、武田信玄に頑張ってもらうという事で、小早川さん脱出の話に戻しましょうか。
(現実問題、今川さんが上洛するのは可能だろうけど、総大将の北条さんが上洛するのは無理だろうな。もし、総大将が戦を放り出してロリ姫に会いに行ってる、なんて知られたら人望を失いかねない。そんな無茶はしないだろう)
一条兼定
そうだね。小早川さんの脱出のタイミング次第で瀬戸内海に迎えの船を出すか、京で落ち合うかが変わってくる。
安東茂季
京で落ち合うってのは無理そう。即位の礼を控えている時期は警備も厳しいだろうから難しいんじゃないのかな?
最上義光
小早川さんの脱出が
竹中重治
脱出実行まで後一回『茶室』がありますが、準備期間を考えると今夜のうちに決めた方がいいでしょうね。
小早川繁平
今夜の決定事項に沿って、領地からの脱出計画を練ります。皆さん、よろしくお願いいたします。
伊東義益
賛成です。次回の『茶室』では万が一の場合の修正しかしないつもりで決めてしまいましょう。
タイミングとしては
今川氏真
随分と幅があるな。もう少し絞れないか?
一条兼定
最初のチャンス! 毛利元就が兵を率いて領地を離れた直後だ。
俺と伊東さんは上洛のため、瀬戸内海を船で移動して毛利領の鼻先を掠める。小早川さん、独力で瀬戸内海までたどり着いてくれ。
次のチャンス! 即位の礼の前後。
俺と伊東さんだけじゃなく、竹中さんも京にいる。可能性は低いけど今川さんと北条さんもいるかもしれない。警戒は厳しいが独力で京に入るか、せめて大阪まで来てくれれば勝機もある。
最後のチャンスだ!
大阪か瀬戸内海沿いのどこかで接触出来れば逃亡成功だ。
北条氏規
最初のプランが小早川さんの負担が一番少ない様に見えますね。
二番目のプランですが、京まで小早川さんに独力で来てもらうのは厳しいのではないでしょうか? 忍者を投入して手引するか……いや、やっぱり現実的には大阪から瀬戸内海への逃走ルートでしょうか。
小早川さんに独力で京まで来てもらうのはほぼ不可能。即位の礼の最中なんて警備が厳し過ぎてどうにもなりませんよ。
最後はタイミングがシビアすぎます。京で何かあって一条さんと伊東さんの出発が遅れたらアウトですね。
竹中重治
現実的なのは最初のプランと二番目のプランだというのに私も賛成です。
ただ、二番目のプランは慎重に事を運ばないと即位の礼の最中に大阪で騒ぎを起こしかねませんね。本当に慎重に行きましょう。
伊東義益
小早川さんを京なり大阪なりに手引するのはそう難しくないと思いますよ。警備は厳重でしょうけど、その警備を請け負うのは一条さんと私ですから。
最上義光
忍者もいるし、それなら楽に手引き出来るな(笑
北条氏規
それなら安心ですね(笑
そうなると、小早川さんをサポートし易くなる二番目のプランが一番いいのかな?
安東茂季
俺なら二番目にするね。最初のプランだと味方が少なすぎる。竹中さんのところから借りている忍者と家臣一人でしょ?
二番目のプランなら敵も多いけど味方も多い。
小早川繁平
私も出来れば二番目のプランでお願いします。情けないお話ですが、最初のプランと最後のプランは何だか心細い感じがします。
伊東義益
では、二番目のプランを基本プランとして詳細を詰めようか。
竹中重治
賛成です。細かな脱出計画もそうですが、京と大阪の兵の配置も考えておきましょう。
一条兼定
よーし、毛利元就と
北条氏規
関東は長尾景虎に悔しがってもらいますが、京では毛利元就と小早川隆景に悔しがってもらいましょう(笑
最上義光
長尾景虎の悔しがる、はちょっと違う気もするけどね(苦笑
竹中重治
毛利元就と小早川隆景の悔しがる顔かあ、是非見たいですね。可能なら帝のいる前で悔しがらせてやりたいなあ、ねえ、一条さん(ニヤリ
一条兼定
お! 乗り気だね、竹中さん。
じゃあ、毛利元就にはハラワタの煮えくり返る心境の中で即位の礼に出席してもらおうか!
伊東義益
即位の礼の前にこちらで保護すると。楽しそうですね。
今川氏真
まさか! 即位の礼に先駆けて大阪で小早川さんを保護して、そのまま即位の礼に出席するつもりなのか!
北条氏規
騒乱が京に及んだら問題になりませんか?
今川氏真
京と大阪の警備にあたるのが一条さんと伊東さんのところだから何とかなるのかな?
伊東義益
事前に『京と大阪で揉め事が起きる可能性がある』と朝廷には流しておきましょう。
最上義光
伏線はっておくのね。というか、それ揉め事が起こすのが前提だよね。
安東茂季
うわー口出したいなー。でも今回は外野だからなー。
小早川繁平
当事者ですが口出しできる雰囲気じゃありません。
伊東義益
京と大阪の警備、竹中さんにも加わってもらいましょうか? 警備体制強化、ってことで十分に可能だと思います。
一条兼定
竹中さんが大丈夫なら警備に加わってくれると嬉しいな。
竹中重治
OKです。京と大阪の警備に我々も加わります。火縄銃を大量に持って行きますよ! ずらりと並べて威圧してやります(笑
一条兼定
決まりだ!
小早川さん、大阪で合流しよう。さすがに即位の礼に参加してもらう事は無理だけど、その後に計画している帝を囲んでのお茶会には何とかねじ込めるよう頑張ってみるから、期待しないで待ってて。
小早川繁平
はい、よろしくお願いします。私としては無事に四国に逃げ延びられるならそれ以上は望みません。
安東茂季
まあ、小早川さんの立場じゃ、そうなるよね(苦笑
一条兼定
ロリ姫を集めてのお茶会には参加できるようにするから、こっちは期待してて。
小早川繁平
はい! 期待して待っています!
最上義光
即答かよ! しかもいい返事だ!
伊東義益
さて、それじゃあ、計画の詳細を練りましょうか。
伊東さんのその一言から、『小早川さん脱出計画&毛利元就脳梗塞促進計画』の詳細打ち合わせが始まった。
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