第27話 1560年5月『茶室』(3)
北条氏規
では申し訳ありませんが、武田弱体化への協力をお願い致します。
今川氏真
まあ、何にしても武田義信がまだ健在でよかった。
伊東義益
それに竹中さんが以前言っていた米じゃないけど、相場操作や塩のせき止めで経済的にどれだけ追い詰められるかの実験にもなります。
竹中重治
何よりも北条さんのモチベーションが上がるなら我々全員にとってもプラスになりますよ。
北条氏規
ありがとうございます。本当に助かります。
最上義光
では私は親戚筋から十三歳前後で胸は小さくてもいいから平成日本風の美少女、これを探し出して養子縁組すればいいわけですね。
北条氏規
はい。ただ、気の強い娘は願い下げです。それと血筋よりも外見を優先してください。何でしたら身分は問わないので農民の娘でも構いません。
『身分を問わない。そこだけ聞くと度量が広いように聞こえるが実情は真逆だ。ストライクゾーンが非常に狭い。これまでの発言や行った政策からは想像もつかないくらいに女性に関しては狭量だ。北条さんの意外な一面を知ることができた』
最上義光
身分を問わないと言われても、さすがにそうはいかないでしょう。
北条氏規
でしょうか? 年齢はもっと下でも構いません。そうですね、十歳くらいまでならなんとか。
小早川繁平
え?
最上義光
え?
竹中重治
え?
今川氏真
ロ?
安東茂季
え?
伊東義益
え?
北条氏規
誤解しないでくださいね。何にもしませんから。年頃になるまで傍において教育するだけですからね。本当ですよっ!
一条兼定
紫ちゃんか。
最上義光
紫ちゃん?
竹中重治
源氏物語に出てくる『紫の上』のことじゃないですか?
小早川繁平
幼女を引き取って自分好みの女性に育てるって、あれですね。
安東茂季
平成日本でやったら犯罪だけど、戦国時代にやったら合法。しかも大名なら複数でも可(ゴクリ
最上義光
ああ、なるほど。言われればそうですね。ある意味男のロマンではあるけど……
伊東義益
北条さんのロマンはさておき、桶狭間の戦いと織田信長への嫌がらせに加えて武田への弱体化工作といろいろと忙しくなりますね。
まあ、私がやるのは織田信長への嫌がらせくらいかな?
一条兼定
武田の武将を調略するというのもできるんじゃない? 武田に限らず甲斐信濃の武将に声を掛けるか。
それと平成日本風の美少女を領内で探そう、うん。
最上義光
ほどほどにしないと家臣に怒られますよ。土居宗珊を手打ちにしちゃだめですよ。
一条兼定
え? 土居宗珊は優秀だよ。あれこれと一生懸命働いてくれるいい人です。たまに怒られるけどね。家中で真向から俺のこと怒鳴れるのってあの人くらいじゃないのかな?
竹中重治
その土居宗珊さんを手打ちにしてから凋落が始まります。大切にしてください。
一条兼定
怖っ! アドバイスありがとうございます。大切にするよ、土居宗珊さん。
小早川繁平
桶狭間の戦いと武田への工作を同時進行させるとして、内政のトピックとかありますか? それと自分にはあまり関係ないですが、皆さんが新たに登用した武将とか興味あります。
安東茂季
領内の農民とか家臣の次男や三男を登用しているくらいで目立った動きはありません。石鹸もそこそこ売れているけど皆さん程の恩恵もありません。
最上義光
こちらも安東さんと同じ感じです。大幅に拡大した椎茸栽培は順調です。取り敢えず親戚筋から固めに入っています。
北条氏規
私も前回お話した上泉信綱と今回の正木憲時の一族くらいですね。後は金鉱をもう一つ見つけて二つにしましたが、一つは氏康に献上済みです。
石鹸はお蔭様で順調です。それと椎茸栽培に田畑の改修と開墾も進めています。
今川氏真
うわー、金鉱、もったいないなー。
俺もこっそりと椎茸栽培始めたよ。それと石鹸も作り始めた。でもそこまでかな。人材面はばあちゃんの
伊東義益
その結果が井伊直親と蒲原氏徳ですね。いい感じじゃないですか。
竹中重治
武田への弱体化工作がなければ祖父の武田信虎を利用できることを考えると、今川さんは結構近いところに人材というか人脈がありますね。
北条氏規
一番人脈が豊富なのが一条さんですけどね。
竹中重治
私の方も島清興、百地丹波、明智光秀、それと蜂須賀正勝がほぼ手中にできたかな? といったところです。今後は美濃内部の切り崩しと織田信長への調略に加えて武田へ調略を仕掛けます。
内政も椎茸栽培をさらに拡大したのと石鹸ですね。石鹸に柑橘系のエキスを混合させた物が評判良かったですよ。
一条兼定
柑橘系かあ、ありがとう。領内で柑橘類を探すか。
竹中重治
後は順調に田畑の改修と開墾作業を進めています。
それと武器です。三間半の長槍とクロスボウ、複合弓を作らせて揃えてあります。スリングを利用した投石部隊も大規模化しました。というか、武将も含めて全員にスリングを持たせています。
小早川繁平
凄いっ! 軍備が本格的ですね。まあ、桶狭間の戦いを利用して織田信長を追い詰める主軸を担っているんだから当たり前と言えば当たり前か。
伊東義益
いや、驚きました。頼りにしてますよ、竹中さん。武将がよく投石なんて承諾しましたね。あとで詳しく教えてください。
今川氏真
鉄砲はどう? 結構な数を集めてたよね。
竹中重治
はい、鉄砲には今のところ百五十丁を超える程度集まりました。
北条氏規
百五十丁……凄い数ですね。この時代で一番数を揃えているのではないでしょうか。
竹中重治
恐らくそうだと思います。桶狭間の戦いへの便乗戦でも存分に使うつもりです。
やはりどうやっても桶狭間には参戦できません。今川さん、申し訳ない。
今川氏真
OK、OK。大丈夫だって。松平元康の首を撥ねてやるよ。
最上義光
相変わらず軽いなあ。松平元康を討つのも目的の一つですが、最大の目的は織田信長を弱体化して封じ込めることですからね。
一条兼定
そうやって、弱体化した織田信長から人材を一人また一人と引き剥がす、と。
小早川繁平
一人くらい家に来てくれないかなー。
北条氏規
相手は松平元康です。戦上手でも知られているくらいの武将です。退路だけは確保してください。
万が一の追撃を考えて北条からも小規模の軍勢を派遣しています。桶狭間には到着できませんが途中までは行けます。危険だと思ったら死に物狂いで遠江に向かってください。
安東茂季
北条が軍を? 氏康と義元はよく納得したな。
伊東義益
どうやったんですか?
北条氏規
氏康には先ほどの金鉱を献上して嫁さんの件と併せて何とか納得してもらいました。今川義元は
参戦して手柄を立てても褒美はなしとの約束もさせられましたけどね(苦笑
竹中重治
さすがです、北条さん。これで万が一の場合でも今川さんの生存確率が上がりました。
今川氏真
一応、礼は言っておくけどさ、もう少し信用してほしいよなあ。
伊東義益
まあまあ。もちろん、北条さんの活躍の場が無いに越したことは無いのは分かっていますよ。
一条兼定
俺のところは四国の足場固めの真最中かな? まあ、目覚しい成果はまだ無いんだよね。周囲と戦って勝てる見込みが出来たら、反抗勢力を叩き潰して長宗我部を配下にしようと目論んでいるよ。
内政は皆と同じように椎茸栽培と田畑の改修と開墾。それと、竹中さんと伊東さんのアドバイス通り、石鹸の販売で得た利益を中央の公家や将軍家にばら撒いて、本家一条が口出しできないようにするつもりでいる。
竹中重治
目処は立ちそうですか?
伊東義益
協力できることがあればいつでもお手紙ください。協力します。
小早川繁平
私は相変わらずの椎茸栽培と石鹸の製造です。それと硝石を作っています。あ、伊東さん、ジャガイモありがとうございます。ジャガイモの栽培も始めました。
一条兼定
あ、俺もジャガイモ栽培始めたんだ。忘れていたよ。
伊東義益
どういたしまして。お安い御用ですよ。
私も内政は前回同様です。ジャガイモの栽培と椎茸栽培を大幅に拡大したくらいですね。後は皆さんと同じで田畑の改修と開墾。
竹中さん同様に鉄砲も買い漁りました。現在九十丁ほどです。これも石鹸の販売が成功したからですね。
一条兼定
石鹸の販売は大成功だね。伊東さんと竹中さんの案に感謝。
小早川繁平
他の製品も同じようには出来ないものでしょうか?
最上義光
最初に貿易品として海外に販売して、海外から逆輸入してブランド力をつける。その上で貴族や大名、商人などの富裕層に高値で販売。
頃合を見て我々が国内への販売も独占するというやつですね。
竹中重治
どうでしょうね。海外の商人も今回の石鹸で利益は出ていますが利用されたのも分かっているので何かしらの条件を持ってきそうです。
伊東義益
まあ、その辺りはあまり欲張らずに出てきた条件を見ながら対応しましょう。
安東茂季
いやー、いいですねー南の方は(棒
最上義光
まったくです。海路の恩恵がこちらに出るのはいつになるか。
海路掌握構想。
南は九州の伊東さん、瀬戸内の一条さん、そして尾張を俺が押さえてる。今川さん、北条さん。さらに最上さんと安東さんが太平洋側に進出できれば我々が太平洋側の海路を掌握できる。
桶狭間の戦いが終わり、九鬼水軍などの伊勢付近の水軍勢力を押さえれば九州から関東まではつながる。
この状態でもそうとうの利益が期待できるし、米に限らず相当の品目の価格操作が出来るはずだ。
竹中重治
取り敢えず、桶狭間の戦いが終わったら海路ほどの規模ではありませんが陸路で北までのルートを作りましょう。
北条氏規
そうですね。東北を置き去りには出来ませんからね。
伊東義益
陸路で安東さんのところまで繋がれば塩の価格を滅茶苦茶にして塩で利益を上げている大名を狙い撃てますね。
最上義光
塩が入ってこない大名はもっと悲惨なことになるような気もしますが……
小早川繁平
私も混ぜてくださいね。
一条兼定
大丈夫だって、ちゃんと考えているから。
竹中重治
では、桶狭間の戦いへの干渉とそれに絡めての織田信長涙目計画と並行して武田晴信弱体化計画を進めると。
最上義光
九州から関東への海路と関東から東北への陸路も忘れないでね。
竹中重治
陸路についてはこれから話し合いましょうか。
その後俺たちは話を重ねるごとに拡大していく織田信長涙目計画と武田晴信弱体化計画、海路掌握構想+陸路構想を核として内政や商売、軍備などについて目が覚めるまで話し合いを続けた。
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