言葉にしたかった気持ち

仲仁へび(旧:離久)

01



 やだな。もう。

 自分で決めた事なのに。

 後悔ばかりが募ってく。


 好きな人に告白しよう。

 そう決めてたのに。

 決心してたのに。


 それなのに、自分の気持ちに蓋をしちゃった。


 朝、家を出る時はあんなにも胸が高鳴っていたのに。

 これから先の人生を変えるつもりで、足を踏み出したのに。


 今はどんよりと心の中が曇ってる。


 嫌になっちゃうな。


 好きな人に告白する直前で、親友の気持ちが分かっちゃうなんて。

 親友のあの子も、彼の事が好きだって分かっちゃうなんて。


 ずっと一緒にいた大切な子。

 辛い事も楽しい事も、ずっと二人で乗り越えて分かち合って来た。


 どうしよう。


 そんな事知っちゃったら、知らんぷりして告白なんてできない。


 今まで、何も知らずに恋の相談してた。

 あの子は一体どんな気持ちで聞いてたんだろう。

 きっとたくさん傷つけたよね。


 決めた。

 告白はしない。


 こんな形で決着つけたくなんてないもの。


 今度彼に思いを告げる時は、二人一緒でなくちゃ。

 私に遠慮しなくていいんだよって、あの子に伝えてあげなくちゃ。

 そして、今度は二人で頑張るんだ。


 覚悟しててね、親友。

 今から叱りに行くから。

 それとごめんなさい。私の好きな人。


 待っててくれるかどうか分からないけど、いつか必ずこの気持ちを伝えに行くから。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

言葉にしたかった気持ち 仲仁へび(旧:離久) @howaito3032

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ