第19話『煽りゴリラの失言』




見知らぬ女の子の告白後、相手の五里沢は調子を取り戻す。






またたく間に追い上げられ、ついに逆転されそうだ。


(え、相手の彼女と告白がかぶったって事?)


いや・・・


そんなことある?そんな可能性ある?




「美住、こっちも対抗して、黒峰に告白だ!さぁ言え、今言え」




駄目・・・



美住は下を向いて立ち上がろうとしない。




だって・・・ネタ被りだし・・・




「お笑いでやってるんじゃねぇんだよ!」




とにかく、まずい、このままだと黒峰敗けちまう。

あいつも相手のすさまじいプレーに「すげー」って感じの他人事になってるし!


ほら、せめて応援しろ、黒峰もう敗けてもいいやって顔してんぞ




(ガ・・・ガンバレー)


顔を真っ赤にした美住の精一杯の声


(・・・声小さッ)







$$$








もう駄目だ、これ敗けたよ・・・

頼子はすでに、すっぱり、あきらめていた。


あれ、よくよく考えてみれば・・・黒峰が敗けて駄目な要素ってあったっけ?



むしろ、良いんじゃないか?



敗けて、打ちひしがれて、絶望している所を・・・美住という天使がなぐさめる・・・これだ!



こんなの反則じゃん、

男で堕ちない男子なんて、居るわけないじゃん、勝ち確だ!




などという事を考えていた時、黒峰のプレーが変化し始める。





ん?






あれー?




黒峰のプレーが”美住って”きた気がする。

ボールの操り方が冴えていく。


あの眼、美住が集中した時の眼・・・





いつからだ?




頼子は思い出す。





確かコートチェンジの時、

あのゴリラ男が何かブツブツ黒峰に話してたな・・・

多分その時だ・・・



馬鹿な奴・・・


何を口走ったかは知らんが、下手にあおらなければ、そのまま勝てたものを



黒峰の冴えたスマッシュが相手コートを一閃切り裂く。



(ああ~・・・黒峰君、ヤバすぎるよぉ・・・)



顔真っ赤の美住は終始幸せそうだった・・・

頼子はふっとため息をもらす。




黒峰の勝ちが決まる。


テニス部連中があとから来てザワついたいた。

「黒峰勝ちってマジかよ」

「って事は次の対戦は・・・白馬ってことか?」



え?



頼子はその事実に固まる。


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『校内一の美男美女カップルに嫉妬してテニスがどんどん上手くなる俺どうなの?』~深窓の令嬢は彼に話しかけれない~ @haidoroponnpu

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