第18話『意を決しての告白』




次の黒峰の対戦相手は五里沢という奴らしい。





美住は対戦相手の詳細なデータをしらべたとか自慢してくるけど・・・

それ、黒峰に教えないと何の意味もないぞ





「美住、ここに座れ」




頼子は、会場から少し離れた公園のベンチに美住を座らせる。

「え、もうすぐ黒峰君の試合始まっちゃうよ?」



「まぁその前に美住に言っておこうと思ってな」





黒峰に告白しろ





「え・・・ええっ」



改めて、黒峰の事が不憫になってきた。

可愛い彼女ができれば、きっとあいつも落ち着くだろう


テニス部の中で特に強くなかったあいつが急に強くなったのは・・・

美住、お前が焚きつけているからであるようにさえ感じる。




それはもう「呪い」の類に近い




「え、私は悪霊か何かなの?」




「それに近い存在になりつつあるだろが!」




頼子は説得する。

「告白が無理なら、せめて自分が応援していることぐらいアピールしろ」



無論、美住は反対した、

だが、少し揺れかけている隙をあたしは逃さない、さらに畳みかける。




「恋愛ってのは苦しいモノだ、だが、たくさんの経験を重ねてこそ実りがあるというモノ、自分の正直な気持ちを言葉にしてみろ」




そこから頼子の説教は長々と続く、


ああ・・・

彼氏すらいた事ないのに、どの口で「恋愛はー」なんて語ってるんだか




後ろの『見知らぬ女子』がやけにこっちの話を聞いて、

うんうん頷いているのが気になったが、まぁいいか





・・・





数分後、

ついに美住は納得しだした。



うう・・・



「私もこのままじゃ駄目かな・・・って思わなくもなかったんだよ」





うしッ!





頼子はすぐに美住を試合会場まで引っ張って行く。

(お、黒峰、勝ってるじゃん、喜べ、あたしが、さらにいいニュースを持ってきたぞ)




さぁ、言え

今、コートチェンジでいいタイミングだ。




・・・




美住が意を決したようにすーっと息を吸いこむ。









「五里沢君!!!私も・・・ずっと前からあなたの事が好きだったの!!!・・・だから、頑張って!!!」









「えー?」


美住の告白は、隣の見知らぬ女の子に、先を越された。



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